地質標本館普及講演会

「ドイツ人地質学者ナウマンと日本の地質学の発展-そして今」

タイトル 「ドイツ人地質学者ナウマンと日本の地質学の発展-そして今」
日時 2006年3月26日 (日) 13時30分〜
会場 地質標本館
主催 地質標本館

※当日は産総研内の食堂は営業しておりませんので、昼食をお済ませの上お越し下さい。

ナウマン-日本の地質学の草創期  …… 矢島道子 (13:30〜14:30)

ナウマンの名前はナウマンゾウで有名ですが、エドムント・ナウマン (1854年9月11日-1927年2月1日.) は“お雇い外国人教師”の1人として、1875 (明治8) 年から10年間、日本に滞在し、東京大学理学部地質学教室初代教授を勤め、地質調査所の創設に貢献し、日本の地質学の草創期に大活躍した人です。 日本の地質学の父ともいえます。
ところが、ナウマンをめぐっては不思議なことがたくさんあります。東京大学地質学教室にはナウマンの肖像画はかかっていません。『ベルツの日記』には「日本地質調査所の長官」と書いてありますが、地質調査所の公式文書には「技師長」と書いてあるだけです。 ナウマン賞というものもありません。 ドイツ人地質学者に「ナウマンはどんな人」と尋ねられることが多くあります。
これはいったいどういうことなのでしょうか。 日本の地質学の草創期とその後に何があったのでしょうか。 ナウマンの不思議を解いてみたいと思います。

過去 (2000万年前) にさかのぼって今 (地震防災) を知る…… 高橋雅紀 (14:30〜15:30)

ドイツ人地質学者ナウマンは明治時代の初めに日本列島の中央部に大きな溝を見つけ、「フォッサマグナ」と名づけ、日本列島の誕生に深い関係があると考えて研究しました。最近の研究では、このフォッサマグナはアジア大陸の一部であった日本列島が千数百万年前に今の位置に移動したときにできたこと、そのときに、関東平野にあたる地域にところにより深さ5000mに達する深いくぼみが何ヶ所もできたことがわかりました。その後このくぼみは泥や砂で埋もれてしまい今では関東平野の地下にあります。そして、関東平野の異常地震動がこの地下の岩盤の深いくぼみで引き起こされている可能性がわかってきました。このことは長年の地質学的データを総合した視点で見て初めてわかったことで、それにより関東平野の異常地震動を予測することができるようになってきました。ナウマンが見つけたフォッサマグナの謎が120年以上たった今解明され、今日の地震防災に役立っているのです。

ドイツに因んだ鉱物  …… 青木正博 (15:30〜16:00)

ドイツは豊かな鉱物資源を活用することで、ヨーロッパの中でも早くから工業化されました。鉱物や鉱床の研究も盛んで、ドイツで初めて発見・記載された鉱物種が多数あります。日本におけるドイツ年の企画展開催に際して、ドイツの有名人、ドイツの地名にちなんだ鉱物種のうちで、私たちにも比較的身近な鉱物種を取り上げ、その特徴、発見の経緯、生成環境などを紹介します。また、今回の企画展を記念して、ドイツ連邦地球科学天然資源研究所から地質標本館に寄贈された鉱石標本について、その見どころを紹介します。