開会挨拶

芦田譲(京都大学教授)

今日のシンポジウムの主催者である日本学術会議資源開発研究連絡委員会および地質学研究連絡委員会と(独)産業総合技術研究所地質調査総合センターを代表して一言開会の挨拶をさせていただきます。

シンポジウム開催にあたりまして、産業総合技術研究所地質調査総合センターおよび応用地質の方々に一方ならぬご協力を賜りました。また、スタンフォード大学のAmos Nur教授にはアメリカから参加していただき、錦上花を添えていただきました。これらの方々にこの場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。

さて、油価が、一昨日のニューヨークの市場でバーレルあたり60ドルを超えております。2010-15年の先物取引ではバーレルあたり50ドルとなっております。これは石油が有限であって、「高く乏しい石油時代が来た」という認識の現れであろうと考えています。

本日ご講演をされる石井吉徳先生が、長らく、繰り返し主張されてきた「石油ピークがやって来た」という認識が一般的に広まった証拠だと思います。昔は、「狼少年だ。その内20ドルぐらいに下がるだろう」と言われていたものですが、今回は「そうじゃなかった。本当に狼が来た」ということであります。

このような認識については、小泉首相が「脱石油文明」を考えなければいけないと話をされています。また、国土交通省も「脱石油に向けた研究」というものを、スタートしております。これは、国土交通分野における脱石油時代に向けた新しいエネルギーをどうするかという研究であります。やっと 「脱石油」を考えなければだめだという認識がいろいろところで叫ばれてきているというわけです。

一方、日本学術会議ですが、現在の19期は今年9月末で終了し、10月から新しい20期がスタートします。これは今までと大きく変わります。従来は研究連絡委員会主体で会員が選ばれていたわけですが、20期からは日本学術会議が210名の会員を選出します。その会員が課題別、分野別に委員会を作って活動するということに大きく変わります。その中で、エネルギーは大きな柱となっており、資源開発だけでなく、環境、農業などいろいろな分野にまたがってエネルギーを考える必要があるということになっております。

先週私は韓国へ行き、物理探査船などについて、Korea Institute of Geology、 Mining & Materials(KIGAM)で講演を行い、韓国の方と話す機会を得ることができました。韓国では石油ピークについては認識がまだあまり無いようです。飛行機から竹島、韓国語では独島と呼びますが、それから日本海、韓国ではこれを東海と呼びますが、これを機上から見ました。「独島は韓国が創ったのですか?そうではないでしょう。それとも日本が創りましたか?そうでもないでしょう。それは地球が創ったものでしょう。だからこれは地球のものでしょう。」 という話をしました。この周辺の漁業資源は膨大なものであります。竹島だ、独島だと言っていると、この大切な資源が活用されなくなることにもなりかねません。

これからは、日本人、韓国人、中国人、アメリカ人という考えから、地球人、コスモポリタンという考えも持つ必要があると思います。そうでないと人類が滅亡する危機になるかもしれないという時代であります。そういう意味で、本日のシンポジウムが意義のあるものになることを祈念して、私の開会の挨拶と致します。