御嶽火山の噴火に関する情報

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開設:2014年 9月29日(更新:2014年12月12日)
2015年9月9日:火山噴火予知連絡会資料を追加

御嶽火山の噴火に関する情報[2014年 9月]

はじめに

  長野、岐阜県境の御嶽山で2014年9月に発生した噴火に関して、産総研では関係機関と協力して現地調査を実施し、その解析結果を火山噴火予知連絡会へ随時報告しています。また、本ウェブサイトにおいて、今回の噴火で得た研究情報を一元的にとりまとめて発信します。なお、記載された内容は,今後の調査研究の進展により修正・変更することがありますことを、ご了承ください。

御嶽火山の活動履歴

  御嶽火山は乗鞍火山列南端に位置する活火山です。現在の山頂部には南北約3kmにわたって複数の火口地形が存在し、一ノ池火口縁の剣ヶ峰が最高点(3,067m)になります。御嶽火山の火山活動は、長期の休止期間を挟んだ古期と新期の活動に大きく区分されています。古期御嶽火山は約78~39万年前に活動し、複数の火山体を形成しました。約30万年間の活動休止の後、約10万年前に新期御嶽火山が活動を開始しました。新期御嶽の活動初期には、大量の流紋岩質テフラを放出した大規模な噴火が発生し、カルデラが形成されました。その後、現在の山頂域を構成する複数の火山体が形成されました。
  1979年10月28日に発生した大規模な水蒸気噴火は有史以来初めての噴火でした。この噴火では、剣ヶ峰南西の地獄谷上部において噴火が発生し、東北東方向に降灰しました。群馬県前橋市付近まで火山灰が到達し、噴出量は20数万トンと見積もられています。この後、1991年と2007年には、1979年の噴火口の一部から、ごく小規模な噴火が発生しています。

今回の噴火概要 

2014年9月27日午前11時52分頃(気象庁発表)に、山頂剣ヶ峰の西〜南西斜面で噴火が発生しました(図1)。噴煙高度は最大7000mに達し、火砕流が主に南西方向へ流下、また山頂部では噴石等により甚大な被害が生じました。
 産総研では研究者を現地に派遣し、噴出物や火山ガス等に関する研究を進めています。噴火翌日(9月28日)の上空観察では、噴煙高度は800~200m程度、白色噴煙からなり、1979年火口列とほぼ平行に新たな火口列が形成されたことを確認しました(図2-A, -B;報道機関のヘリコプターに同乗して撮影)。また同日、剣ヶ峰山頂から東北東約6kmの開田高原付近で採取した火山灰(図3)を解析した結果、火山灰を構成する粒子はほぼ全てが変質岩片からなり、マグマ物質を含まないことが分かりました。これらから、今回の噴火を水蒸気噴火と考えています。

図1 御嶽火山の地質図(5万分の1地質図幅「御嶽山」(1988;左側)と「木曽福島」(1998;右側)を抜粋・合成)。

図1 御嶽火山の地質図(5万分の1地質図幅「御嶽山」(1988;左側)と「木曽福島」(1998;右側)を抜粋・合成)。 2014年9月27日噴火による火口位置(赤丸;概位)と現地火山灰調査に基づく降灰の主軸(赤矢印)を示す。あわせて青点線で10万年前以降の新期御嶽火山の分布域を示す。

 

図2-A 9月28日16:36撮影

図2-A 9月28日16:36撮影
  北西上空より見た剣ケ峰山頂部の火口状況。ほぼ白色の噴煙が南−南東へ流れている。手前の噴煙が今回の噴火による火口列の西端の割れ目火口、奥の噴煙が地獄谷に形成された火口列からのもの。

 

図2-B 9月28日11:12撮影:北方上空より見た噴煙活動。手前のピークが剣ケ峰山頂。

図2-B 9月28日11:12撮影
  北方上空より見た噴煙活動。手前のピークが剣ケ峰山頂。

 

図3 9月28日、剣ヶ峰山頂から東北東約6km開田高原付近での降灰状況。

図3 9月28日、剣ヶ峰山頂から東北東約6km開田高原付近での降灰状況。

 

火山噴火予知連絡会資料

    御嶽火山の噴火に関し、東京大学地震研究所、産業技術総合研究所、山梨県富士山科学研究所、信州大学、帝京平成大学、常葉大学から火山噴火予知連絡会に提出した資料を公開しました。

    御嶽火山の噴火に関し、産総研地調から火山噴火予知連絡会に提出した資料を公開しました。

 

関連情報

  産総研・地質調査総合センターでは、御嶽山に関して、以下の関連情報を公開しています。

 

活断層・火山研究部門

開設:2014年 9月29日

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター