地質調査総合センター

新燃岳2025年

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霧島山新燃岳2025年噴火に関する調査結果

活断層・火山研究部門
更新:2025年7月10日
開設:2025年6月27日

 産総研 地質調査総合センター(GSJ)では霧島新燃岳の2025年6月22日からの噴火に対応し、気象庁から送付された火山灰試料の観察を迅速に実施するとともに、6月26日から現地調査チームを派遣しました。

 今回の噴火に関する調査解析結果は、火山調査研究推進本部等へ随時報告するとともに、このページで紹介します。調査は、気象庁、現地関係者、他研究機関や大学等とも協力の上で進めております。なお、記載された内容は今後の調査研究の進展により修正・変更することがあります。

写真1 新燃岳の噴煙。2025年6月28日17時37分頃撮影

写真1 新燃岳の噴煙。2025年6月28日17時37分頃撮影

今回の噴火の概要
Summary of the eruption

霧島火山新燃岳では、2025年6月22日に2018年6月27日以来となる7年ぶりの噴火が発生し、その後も噴火は継続しています(7月2日現在)。地震回数や火山ガスの放出量も多い状態で経過しているため、活発な状態が続いていると考えられます。

噴出物構成粒子の特徴解析
Component analysis of the ejecta

6月22日噴火の火山灰(火山調査研究推進本部への提出資料より抜粋)
The ash grains of the June 22 ejecta

 気象庁により6月22日に西諸県郡高原町にて採取された試料が産総研に送付され、顕微鏡を用いて構成粒子の種類やその割合を解析しました(写真2)。
 今回の噴出物を構成する粒子のほとんどは黒色や灰色の岩片からなり、これらは主に新燃岳の火口内を埋めている2011年や2018年の溶岩の破片だと考えられます。また、少量の白色岩片や白色物質で充填された黒色や暗褐色のガラス片も見られ、これらは火山体の地下や近傍の変質部に由来するものだと考えられます。今後も新燃岳の動向を注視して、噴出物の構成粒子の変化を見ていくことが重要です。

写真2 2025年6月22日に気象庁により宮崎県西諸県郡高原町において採取された火山灰の構成粒子写真。

写真2 2025年6月22日に気象庁により宮崎県西諸県郡高原町において採取された火山灰の構成粒子写真。
(略称については資料「新燃岳2025年6月22日噴火の火山灰構成粒子の特徴」を参照)

現地調査報告(速報)
Field Survey

 継続する噴火の規模の把握や噴出物の変化を追うために、産総研地質調査総合センターでは6月26日から現地に職員を派遣し、噴出物の分布調査や採取を実施しています。各地点における降灰量の定面積定量結果は噴火による全降灰量の推定のための基礎データとなります。
 また、7月3日からドローンを用いた火山ガス観測も始めています。

6月26〜28日撮影

写真3 降灰調査の様子(6月26日)

写真3 降灰調査の様子(6月26日)

写真4 高千穂河原での降灰状況(6月28日)

写真4 高千穂河原での降灰状況(6月28日)

7月3日撮影

写真5 火山ガス観測のドローンから撮影された火口の様子(噴煙が火口縁上5000 mまで上がった直後14時ころ。新燃岳東側上空より)

写真5 火山ガス観測のドローンから撮影された火口の様子
(噴煙が火口縁上5000 mまで上がった直後14時ころ。新燃岳東側上空より)

写真6 新湯三叉路での降灰状況(16時ころ)写真6 新湯三叉路での降灰状況(16時ころ)

写真6 新湯三叉路での降灰状況(16時ころ)


火山調査研究推進本部資料

産総研から火山調査研究推進本部に提出した資料を公開しました。

関連情報

産総研 地質調査総合センターでは、霧島火山に関して、以下の関連情報を公開しています。

 

更新履歴

  • 2025年7月10日:「火山調査研究推進本部資料」1件を掲載。
  • 2025年7月8日:「火山調査研究推進本部資料」3件を掲載。
  • 2025年7月7日:「火山調査研究推進本部資料」2件を掲載。
  • 2025年7月4日:「現地調査報告(速報)」を更新。
  • 2025年7月3日:「今回の噴火の概要」、「噴出物構成粒子の特徴解析」、「現地調査報告(速報)」、「関連情報」、「火山調査研究推進本部資料」を掲載。
  • 2025年7月2日:「火山調査研究推進本部資料」を掲載。
  • 2025年6月27日:ページ開設、「火山調査研究推進本部資料」を掲載。

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター