2014年

 

阿蘇火山中岳の噴火情報 [2014年11月25日]

開設:2014年12月5日
2016年2月26日:噴火予知連絡会資料を追加

はじめに 

 熊本県の阿蘇火山中岳で2014年11月25日に噴火が発生しました。産総研地質調査総合センターでは関係機関(京大火山研究センター、熊本大、阿蘇火山博物館等)と協力し、また気象庁阿蘇火山防災連絡事務所と連絡をとりつつ、現地調査を実施しています。これらで得た調査解析結果は、火山噴火予知連絡会等へ随時報告します。また、本ウェブサイトを通じて、今回の噴火に関する研究情報を一元的に発信して参ります。なお、記載された内容は今後の調査研究の進展により修正・変更することがあります。

今回の噴火概要と対応

 阿蘇火山中岳第1火口で2014年11月25日10時11分(気象庁発表)に噴火が発生しました(図1)。噴煙高度は1500mに達し、東側約30kmの大分県竹田市にかけて降灰するなど広範囲に影響を与え、熊本空港では発着する航空機に支障が出ました。また、26日の遠望カメラでは赤熱した噴石が確認され、27日の気象庁等の現地調査では火口近傍でスコリア(注1)が確認されました。噴火はその後も断続的に発生しています。
 地質調査総合センターでは、噴火推移を把握するため29日から現地調査を実施し、噴出物や火山ガス等に関する研究を進めています。

阿蘇火山中岳の活動履歴

 阿蘇火山中岳は、25×17kmのカルデラ内に存在する中央火口丘群のほぼ中央に位置し、玄武岩質安山岩〜安山岩からなる複成火山です。中岳は東半分が活動初期に形成された古期山体、西半分が新期山体と最新期火砕丘から構成されます(図1)。最新期の火砕丘には第1から第7までの火口があり、最近の80年間は、最も北側の第1火口でのみ噴火しています。中岳の火口には、通称「湯だまり」と呼ばれる火口湖が形成されていますが、活動が活発化してくると湯だまりは減少・消失、火口底に赤熱が見られるようになり、その後、噴火に至ることが多いとされています。今回の活動もこれと同様の経緯をたどりました。
 数日以内で収束するような噴火は、2〜3年おきに発生しています(例:2004年、2005年、2011年)。また、マグマが火口底近くまで上昇して数年間活動を継続するような噴火は、10〜20年に1回程度発生しています(例:1933年、1958年、1979年、1989〜93年)。溶岩を流出するような更に規模の大きい噴火は、歴史時代には見られていませんが、これまでの地層の調査から、数千年に一回程度起こっていると考えられています。
 数年間噴火が継続した1989〜93年噴火では、火山灰を連続的に噴出する噴火(89年7月)から、数ヶ月後にスコリアの放出を伴うストロンボリ式噴火(注2)へ移行(89年10月)し、その後活動は穏やかになり火口底に湯だまりが生じました(90年2月)が、マグマ水蒸気爆発に伴う火砕サージ(注3)が発生(90年4月)するなど、噴火様式が時間とともに変化したことが記録されています。

(注1)暗〜黒色で気泡を多く含む火山噴出物。
(注2)比較的粘性の低いマグマの間欠的爆発による噴火。イタリアのストロンボリ火山での噴火に由来。
(注3)気体と火山砕屑物との混合物(噴煙)が地表に沿って広がる現象。水蒸気爆発・マグマ水蒸気爆発に伴って発生することが多い。

阿蘇火山の地質図図1

阿蘇火山の地質図。阿蘇火山地質図(小野・渡辺、1985)に地形陰影を重ねている。
今回噴火した中岳第1火口を赤丸、中岳を形成する噴出物範囲を青点線で示す。

中岳西南西約1.2km(ロープウェー阿蘇山西駅付近)から見た噴煙図2

中岳西南西約1.2km(ロープウェー阿蘇山西駅付近)から見た噴煙(11月29日14:15撮影)。

今回の噴火で、中岳第1火口周辺に降下した火山弾図3

今回の噴火で、中岳第1火口周辺に降下した火山弾(11月29日15:36撮影)。良く発泡しており軽い。液体状のマグマが吹きちぎられた形を残している。

 噴火予知連絡会資料

産総研から火山噴火予知連絡会に提出した資料を公開しました。

関連情報

  産総研・地質調査総合センターでは、阿蘇火山に関して、以下の関連情報を公開しています。

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター