現地調査報告第二報(2016年10月9日~11日)

2016年11月 4日作成

 阿蘇火山中岳における2016年10月8日未明の爆発的噴火の発生を受け、産総研地質調査総合センター活断層・火山研究部門では、緊急地質調査を実施しています。ここでは、第一報に掲載していない、大分県から熊本県阿蘇市(阿蘇カルデラ北東部)での調査結果を紹介します。阿蘇市での調査は熊本大学の研究者と合同で実施しました。

 中岳の北東方向に位置する熊本県阿蘇市では、火山灰とともに灰色の火山礫が降下していました。火山礫の大きさは火口から北東方向に3kmで最大7cm、9kmで3cmに達しています(写真1、 2)。火山礫は、明灰色〜灰色の固結した凝灰岩のかけらが大部分です。表面に泥のコーティングがされたものや、表面の一部が赤色酸化したものもあります。堆積物は淘汰が悪く、一部は泥の塊として着地したようです。

 中岳火口から北東20kmの熊本・大分県境付近でも、最大1cm程度の火山礫と細粒火山灰が降下していました。さらに東の火口から30km近い大分県竹田市の一部でも、最大粒径は4mmに達しています(写真3)。火山礫が降下した地域は細長く北東に延びた軸をなしており、軸から離れると急速に粒径が小さくなります。多くの地点で“泥雨”の跡があり、細粒火山灰は雨と一体となって降下したようです。また、由布市や大分市など遠方では、火山灰のほとんどは洗い流されており、一部でその痕跡を確認することができました(写真4)。

熊本県阿蘇市での降灰状況。灰色の火山礫と細粒火山灰からなる降下火砕物(10月10日撮影)。 熊本県阿蘇市での降灰状況。灰色の火山礫と細粒火山灰からなる降下火砕物(10月10日撮影)。

写真1:熊本県阿蘇市での降灰状況。灰色の火山礫と細粒火山灰からなる降下火砕物(10月10日撮影)。

駐車場にちらばる火山礫(10月10日撮影、熊本県阿蘇市仙酔峡)。 採取した火山礫(10月10日撮影、熊本県阿蘇市仙酔峡)。

写真2:駐車場にちらばる火山礫(10月10日撮影、熊本県阿蘇市仙酔峡)。下は採取した火山礫。

自動販売機の上に残る火山礫。10月8日夜の雨のため一部は失われている(竹田市米賀、10月11日撮影)。 ガードレールに付着した“泥雨”の跡。10月8日夜の雨のため一部は失われている(竹田市米賀、10月11日撮影)。

写真3:自動販売機の上に残る火山礫(上)とガードレールに付着した“泥雨”の跡(下)。
10月8日夜の雨のため一部は失われている(竹田市米賀、10月11日撮影)。

写真4:遠方で確認された降灰の痕跡。10月8日の降雨のため洗い流されているが、駐車場などに痕跡が残されている。由布市庄内町(上)や大分市(下)では最大粒径1-2mm程度の火山灰を採取することができた。 写真4:遠方で確認された降灰の痕跡。10月8日の降雨のため洗い流されているが、駐車場などに痕跡が残されている。由布市庄内町(上)や大分市(下)では最大粒径1-2mm程度の火山灰を採取することができた。

写真4:遠方で確認された降灰の痕跡。
10月8日の降雨のため洗い流されているが、駐車場などに痕跡が残されている。
由布市庄内町(上)や大分市(下)では最大粒径1-2mm程度の火山灰を採取することができた。

 これら降下火砕物の分布や粒径の調査結果は、大学や各研究機関の調査結果と集約するとともに、噴出物の解析についても進めていく予定です。

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産総研地質調査総合センター