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8月22日火山灰の分布及び噴出量

概要

新燃岳から北東約 2〜 9kmの地域で火山灰の分布調査を行った結果、調査地域内では新燃岳から北東方向に伸びる幅約 3kmの地域で火山灰の堆積を確認した。噴出量の正確な見積もりは困難であるが、8月22日噴火により新燃岳火口外に噴出した火山灰量は約20万トンと推測される(新燃岳火口内に堆積した量は含まれていない)。

詳細

地質調査総合センターでは、9月1-2日に火山灰の分布調査を行った。調査区域は新燃岳から北東2kmの大幡山付近から、約 9kmの宮崎自動車道付近までの地域である

調査地域内では新燃岳から北東方向に伸びる幅約3kmの地域で火山灰の堆積を確認した。ほとんどの地点では噴火直後の降雨等のため火山灰層は乱れているが、新燃岳から約2kmの大幡山〜大幡池付近で層厚は約 2〜 3mm、約 6kmの夷守山東山麓では1mm以下であることが確認された。単位面積当たりの降下量は、火口から約 2.5km(大幡池南東地点)で約4700g/m2、火口から約8km地点(東牧場付近)で約 26g/m2 であった。なお、火山灰の最大粒径は大幡山山頂付近で 2mm程度、東牧場付近で約 1mmである。
噴火直後に行われた気象庁による現地調査および聞き取り調査では、降灰地域は新燃岳から北東方向に約 25kmまで確認されている(平成20年8月25日21時50分発表 霧島山(新燃岳)の火山活動解説資料)。


現地調査による8月22日火山灰の分布
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噴火直後の降雨のため火山灰の層厚を確認できた地点が乏しく、また、火口近傍の堆積量が未調査のため。噴出量の正確な見積もりは困難である。ここでは、1)新燃岳火口縁での火山灰層厚を 5cmとし、2)福岡管区気象台による降灰確認地点を参考に火口から北東に 30kmまで火山灰が到達したと仮定し、3)今回の調査による火山灰の堆積量分布を用いて、等重量線の囲む面積の積算により噴出量を推定した。その結果、8月22日噴火により新燃岳火口外に噴出した火山灰量は約 20万トン と推測される。この見積もりには、新燃岳火口内に堆積した量は含まれていない。
この量は、1959年噴火の噴出量(860万トン : 福岡管区気象台ほか、1959) の20分の1以下である。

本件担当

地質情報研究部門 火山活動研究グループ 下司信夫

地質調査総合センター
産業技術総合研究所