岩手・宮城内陸地震によって発生した斜面崩壊地周辺の地質

地質の概要

本地域は、東北地方脊梁山地の東縁部に当たります。1,500万年前以降の主に火山岩からなる地層を、栗駒山から噴出した安山岩類(Qal)や、鬼首カルデラ等から噴出した火砕流堆積物(PPw)が覆っています。

栗駒山火山は50万年前以降に活動を開始した活火山で、1944年11月20日には小規模な水蒸気爆発を起こしています。

荒砥沢ダム周辺の地質

荒砥沢ダム周辺では、今回の地震によって大規模な斜面崩壊(地すべり)が発生しました。崩壊した地域は小野松沢層と呼ばれるおよそ500万年前の地層でできています。崩壊地付近の小野松沢層は、主にほぼ水平な白色の軽石凝灰岩(PMp)でできていて、より細粒の凝灰岩(PMa)や、溶結凝灰岩(PMw)を挟みます。これらは火砕流堆積物と考えられています。この小野松沢層の分布域には,地震発生以前から地すべり地形が存在していました。

駒ノ湯温泉周辺の地質

駒ノ湯温泉を襲った三迫川上流部の土石流は、栗駒山の東斜面で発生しました。栗駒山火山の噴出物は、安山岩溶岩・火山砕屑岩(Qal)からなり、これらが崩壊して流動化し、土石流となりました。発生した土石流は水平距離で4km以上流れ下り、駒ノ湯温泉を襲ったものと考えられます。


10万分の1特殊地質図「栗駒地熱地域地質図」(1986年発行)

震央の位置は、防災科学技術研究所のHi-netによる。

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統合地質図データベース(GeoMapDB)による10万分の1特殊地質図「栗駒地熱地域地質図」の閲覧はこちら