2023年2月6日に発生したトルコ南部の地震（Mw 7.8、 Mw 7.5）について

English

2023年2月10日 開設
2023年9月20日 更新

　トルコ南部の東アナトリア断層系において、2023年2月6日1時17分（UTC）に地震が発生しました。米国地質調査所（USGS）によると、マグニチュードは7.8、震源の深さは17.9 kmです。また、約9時間後の同日10時24分には、やや北部でマグニチュード7.5、震源の深さ10 kmの地震が発生しました。震源メカニズム解からはいずれの地震も複雑な断層運動であったことが示唆されますが、横ずれを主体とする地震であったと言えます。

第六報　トルコ南部の地震（Mw7.8およびMw7.5）に伴う地表地震断層と変位量分布 [2023年3月20日]

第五報　トルコ南部の地震（Mw7.8）に伴う地表地震断層と変位量分布 [2023年3月9日]

第四報　東アナトリア断層周辺の応力マップとテクトニクス [2023年3月3日]

第三報　トルコ南部の地震の揺れを気象庁の震度で見てみる [2023年3月3日]

第二報　トルコ南部の地震に伴う地表地震断層（速報） [2023年2月22日]

第一報

活断層と余震分布

活断層・火山研究部門　近藤久雄・今西和俊

　今回の地震の震央と余震分布、活断層との対応を図1に示します。M7.8で長さ250 km程度、M7.5で長さ130 km程度に及びます。M7.8の地震では､震源から北東方向の東アナトリア断層系とともに､南南西方向へ双方向へ破壊が進展したとみられます。また､M7.5の地震では､東アナトリア断層系から派生したシュルギュ断層とチャルダク断層がずれ動いたと考えられます。チェリクハン付近からトゥルクオール付近にかけての断層区間は、西暦1513年に活動したとみられ、大地震の空白域となっているとの指摘がありました（例えば、Duman and Emre, 2013，Hubert-Ferrari et al., 2020）。今後、InSARや地表地震断層の調査が進むことで、活動範囲の正確な長さが確定していくと思われます。

図1　今回の地震の震央と余震分布、活断層との対応。
震央と震源情報はUSGSのウェブサイトによる。
基図はMTA(トルコ鉱物資源調査開発総局)発行の活断層図（Emre et al., 2013）。

参考情報

• Ambraseys, N.N. (1989) Temporary seismic quiescence: SE Turkey. Geophysical Journal International 96 (2), p. 311–331.
• Duman, T.Y. and Emre, Ö. (2013) The East Anatolian Fault: geometry, segmentation and jog characteristics. Geological Society of London Special Publication 372 (1), p. 495–529.
• Emre, Ö., Duman, T.Y., Özalp, S., Elmacı, H., Olgun, Ş. and Şaroğlu, F. (2013) Active Fault Map of Turkey with and Explanatory Text. General Directorate of Mineral Research and Exploration, Special Publication Series-30. Ankara-Turkey.
• Hubert-Ferrari, A., Lamair, L., Hage, S., Schmidt, S., Çağatay, N. and Avşar, U. (2020) A 3800 yr paleoseismic record (Lake Hazar sediments, eastern Turkey): Implications for the East Anatolian Fault seismic cycle. Earth and Planetary Science Letters, 538, doi.org/10.1016/j.epsl.2020.116152
• USGS website, https://www.usgs.gov/programs/earthquake-hazards/earthquakes（2023年2月9日確認）
• Kandilli observatory web site, http://udim.koeri.boun.edu.tr/zeqmap (2023年2月9日確認)

更新履歴

• 2023.09.20　第五報および第六報　図2の差し替えおよびキャプションを更新しました。
• 2023.4.6　第六報　トルコ南部の地震（Mw7.8およびMw7.5）に伴う地表地震断層と変位量分布のページに追記しました。図1、2を差替えました。
• 2023.3.20　第六報　トルコ南部の地震（Mw7.8およびMw7.5）に伴う地表地震断層と変位量分布のページを追加しました。
• 2023.3.9　第五報　トルコ南部の地震（Mw7.8）に伴う地表地震断層と変位量分布のページを追加しました。
• 2023.3.3　第三報　トルコ南部の地震の揺れを気象庁の震度で見てみる、第四報　東アナトリア断層周辺の応力マップとテクトニクスのページを追加しました。
• 2023.2.22　トルコ南部の地震に伴う地表地震断層（速報）のページを追加しました。

問い合わせ先

産総研地質調査総合センター