令和3年(2021年)9月16日に能登半島で発生した地震の関連情報



令和3年(2021年)9月16日に能登半島で発生した地震の関連情報

2021年 10月12日 更新
2021年 9月17日 開設

 2021年9月16日18時42分に能登半島の北東部でマグニチュード5.1(気象庁暫定値)の地震が発生しました。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型です。産業技術総合研究所では、2008年に能登半島の北岸沖で海底地質調査を実施し、海底に分布する活断層の全貌を明らかにしていました(岡村ほか、2010)。それによると、この地震が発生した地域の北方沖の海底には北東-南西走向の逆断層が分布していることが示されています。ここでは、能登半島の地質と活断層について簡単に紹介します。

能登半島の地質と活断層

 能登半島には中新世の火成岩及び堆積岩が広く分布し、一部の地域ではジュラ紀の深成岩などが露出します(図1;尾崎、2010)。これらのうち、北岸に分布する中新世の地層には、褶曲や断層が発達しています。褶曲軸と断層の走向は東北東-西南西で、中新世末期(500-600万年前)に南北方向の圧縮応力が強まったことによって形成されたと考えられています(尾崎、2010)。現在の能登半島は、比較的なだらかな山地が広がり、その標高は概ね550m以下ですが、北岸側で標高が高く、南南東に向かって低下する傾向があります(太田・平川、1979)。過去数十万年間の海岸付近で形成された海成段丘が広く分布しますが、その高度も南から北に向かって高くなっており、南に傾動しながら隆起してきたことが明らかになっています。
 陸域の活断層は、富山湾側の穴水町から能登町にかけての海岸沿い分布します。日本海側では、海岸から5-10 km沖に活断層が断続的に連なっていることが明らかになっています(図2;井上・岡村、2010)。それらは東から西へ、珠洲沖セグメント、輪島沖セグメント、猿山沖セグメント、門前沖セグメントに区分されており、それぞれ20 km前後の長さを持ちます。すべての断層は南側が隆起する逆断層です(図3)。このうち、門前沖セグメントは2007年能登半島地震の震源断層であったことが確認されています(井上ほか、2008)。令和3年9月16日の地震は珠洲沖セグメントの南東約7-8km付近を震源として発生しましたが、活断層との関係は今のところ不明です。

[2021.10.12 追記]
 この地震について、一部を追加・更新した資料を2021年10月11日の第364回地震調査委員会に提出しました。主な変更点は,能登半島の地震の周辺地域の地震分布(断面図)を加えたことです。

図1 能登半島の地質図(井上ほか、2010)図1 能登半島の地質図(井上ほか、2010)海域の地質の凡例は省略した。

図2 能登半島の北岸沖の活断層図(井上・岡村、2010)図2 能登半島の北岸沖の活断層図(井上・岡村、2010)

図3 (上)能登半島東端部の地質断面(井上ほか、2010)。断面図の位置は図1に桃色線で示す。(下)珠洲沖セグメントの活断層を横断する反射断面(井上・岡村、2010)。断面の位置は図2に赤線で示す。中央のほぼ垂直な赤線が活断層位置で、その左側(北側)の地層はほぼ水平であるが、右側(南側)の地層は北側に傾斜していることから、南側が隆起する逆断層であると解釈される。この断面は縦方向に約10倍拡大しているので、実際の傾斜はもっと緩やかである(井上・岡村、2010)。図3 (上)能登半島東端部の地質断面(井上ほか、2010)。断面図の位置は図1に桃色線で示す。
(下)珠洲沖セグメントの活断層を横断する反射断面(井上・岡村、2010)。断面の位置は図2に赤線で示す。
中央のほぼ垂直な赤線が活断層位置で、その左側(北側)の地層はほぼ水平であるが、右側(南側)の地層は北側に傾斜していることから、南側が隆起する逆断層であると解釈される。
この断面は縦方向に約10倍拡大しているので、実際の傾斜はもっと緩やかである(井上・岡村、2010)。

引用文献

井上卓彦・村上文敏・岡村行信・池原 研(2007)2007 年能登半島地震震源域の海底活断層. 地震研彙報, 82, 301-312.
井上卓彦・岡村行信 (2010) 能登半島北部周辺20万分の1海域地質図及び説明書. 海陸シームレス地質情報集, 「能登半島北部沿岸域」. 数値地質図S-1, 地質調査総合センターhttps://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-1.html.
井上卓彦・尾崎正紀・岡村行信(2010)能登半島北部域20万分の1海陸シームレス地質図及び地質断面図, 海陸シームレス地質情報集「能登半島北部沿岸域」, 地質調査総合センター.
太田陽子・平川一臣(1979)能登半島の海成段丘とその変形. 地理学評論, 52, 4, 169-189.
岡村行信・井上卓彦・尾崎正紀・池原 研・駒澤正夫・大熊茂雄・加野直巳・伊藤 忍・横田俊之・山口和雄(2010)海陸シームレス地質情報集, 「能登半島北部沿岸域」. 数値地質図S-1, 地質調査総合センター, https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-1.html.
尾崎正紀(2010)能登半島北部20万分の1地質図及び説明書. 海陸シームレス地質情報集, 「能登半島北部沿岸域」. 数値地質図 S-1, 地質調査総合センター, https://www.gsj.jp/researches/project/coastal-geology/results/s-1.html.

更新履歴

  • 2021年10月13日
    引用文献の一つにURLの間違いがありましたので、削除しました。

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