地質調査総合センター

令和7年(2025年)12月8日23時15分に発生した青森県東方沖の地震の関連情報



令和7年(2025年)12月8日23時15分に発生した青森県東方沖の地震の関連情報

2025年12月11日 開設

 令和7年12月8日23時15分ごろ、青森県東方沖を震源とするマグニチュード(M)7.5(気象庁暫定値)の地震が発生しました。震源の深さは約55kmで、青森県の八戸市で震度6強の揺れを観測したほか、北海道から近畿地方にかけて震度6弱~1の揺れを観測しました。また、岩手県沿岸では約70cmの津波も観測されています。この地震の発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生したと考えられます。
 この地震を受け、気象庁は新たな大規模地震の発生の可能性が普段より高まったとして「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。2022年12月の制度運用開始後初めての発表になります。

第二報 青森県の津波堆積物調査について

第一報 令和7年(2025年)12月8日青森県東方沖の地震(M7.5)前後の微動活動

活断層・火山研究部門
 寒河江 皓大・内出崇彦・今西和俊

 この地震の約200 km南東の三陸沖では、遡ること1ヶ月前の11月9日にマグニチュード6.9の地震が発生しました。私たちは、三陸沖の地震の前後にスロースリップを示唆する現象の一つであるテクトニック微動を検出しており、その活動を報告しています(令和7年11月9日に発生した三陸沖の地震の関連情報)。本資料では、12月8日の青森県東方沖の地震前後でどのような微動活動が観測されていたかを報告します。

 12月8日の地震の前、テクトニック微動は三陸沖の南側で観測されていました(図1)。この活動は11月9日の三陸沖の地震以降から継続していたものです。また、12月8日の地震とは約200 km離れて発生していることから、両者の間に直接的な因果関係はないと考えています。

 12月9日の地震の後、余震活動が本震の東側に広がっている様子が確認できます(図1)。 また微動は、余震活動のさらに東側に位置する十勝沖で検出されていることがわかりました。このことは、スロースリップが余震活動の東側で起きている可能性を示唆しています。私たちは引き続きテクトニック微動の監視を継続するとともに、今回の一連の地震現象についての解釈につなげていく予定です。

 なお、記載された内容につきましては、あくまで速報であり、今後の研究の進展により修正・変更することがあります。ご了承下さい。

図1 左図:地震とテクトニック微動の震央分布。暖色の星で地震、寒色の丸でテクトニック微動の位置を示す。右図:テクトニック微動の時間変化、縦軸は緯度、横軸は日付を示す。赤の縦線はM7.5の地震が起きた時刻を示す。

図1 左図:地震とテクトニック微動の震央分布。暖色の星で地震、寒色の丸でテクトニック微動の位置を示す。
右図:テクトニック微動の時間変化、縦軸は緯度、横軸は日付を示す。赤の縦線はM7.5の地震が起きた時刻を示す。

謝辞

解析には、防災科学技術研究所 日本海溝海底地震津波観測網(S-net)の連続地震波形データを使用しました。地震の震源情報は、気象庁一元化震源カタログを用いました。また、防災科学技術研究所F-net Project による広帯域地震波形を用いたメカニズム解析結果を使用しました。

引用文献

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