地質調査総合センター

令和7年(2025年)11月9日に発生した三陸沖の地震の関連情報



令和7年(2025年)11月9日17時03分に発生した三陸沖の地震の関連情報

2025年11月18日 開設

令和7年11月9日17時03分ごろ、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)6.9(気象庁暫定値)の地震が発生しました。震源の深さは約16kmで、岩手県の盛岡市・矢巾町および宮城県涌谷町で震度4の揺れを観測しました。また、岩手県沿岸では約20cmの津波も観測されています。この地震の発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生したと考えられます。

第一報 令和7年(2025年)11月9日三陸沖の地震(M6.9)前後の微動活動

活断層・火山研究部門
 寒河江 皓大・内出崇彦

 この地震の発生後、11月13日の段階でマグニチュード6を超える地震は3回、マグニチュード1程度のものも含めると1000回を超える地震が観測されています。このような地震の多発には、ゆっくりとプレートの境界がずれ動くスロースリップという現象が関連している可能性も指摘されています。私たちは、スロースリップを監視する手段の一つとして、テクトニック微動という微弱な地震波を出す現象を検出する手法を日本海溝で開発しました(2025年6月産総研プレスリリース)。ここでは、三陸沖の地震の前後におけるテクトニック微動の活動を報告します。 

 M6.9の地震の前、テクトニック微動は三陸沖の北側と南側で起きていました(図1)。北側では、11月7日には活動が低調になりましたが、南側では地震の後も活発な活動が継続しています。今後さらにテクトニック微動の活動域が移動していく可能性があるため、私たちは引き続きテクトニック微動の監視を継続するとともに、今回の一連の地震現象についての解釈につなげていく予定です。

 本内容は、2025年11月13日の地震調査委員会に資料として提出しました。なお、記載された内容につきましては、あくまで速報であり、今後の研究の進展により修正・変更することがあります。ご了承下さい。

図1 地震とテクトニック微動の震央の時間変化。左の地図に暖色の星で地震、寒色の丸でテクトニック微動の位置を示す。右上の図は南北に沿った地震とテクトニック微動の時間変化を、右下の図は、左の地図に示す黒線で囲んだ領域での東西に沿った時間変化を示す。(2025年11月13日地震調査委員会提出資料)

図1 地震とテクトニック微動の震央の時間変化。
左の地図に暖色の星で地震、寒色の丸でテクトニック微動の位置を示す。右上の図は南北に沿った地震とテクトニック微動の時間変化を、右下の図は、左の地図に示す黒線で囲んだ領域での東西に沿った時間変化を示す。
(2025年11月13日地震調査委員会提出資料)

謝辞

解析には、防災科学技術研究所 日本海溝海底地震津波観測網(S-net)の連続地震波形データを使用しました。地震の震源情報は、気象庁一元化震源カタログを用いました。地震のメカニズム解はF-netで公開されているものを使用しました。

引用文献

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