20万分の1地質図幅「福岡」の解説

地質図カタログ

発行年: 1993年
索引番号: NI-52-10
販売価格: \2,520

国土地理院発行の20万分の1地形図「福岡」と同じ範囲の地質図です.

20万分の1地質図幅「福岡」地域は以下の1)〜7)のような様々な地層・岩石が分布しています.

このうち福岡県西方沖地震で被害の大きかった玄界島は,土台として志賀島花崗閃緑岩が,また山頂部にはアルカリ玄武岩が分布しています.志賀島花崗閃緑岩は比較的安定した地盤ですが,アルカリ玄武岩分布域の周辺斜面には岩石の風化物が分布するため,地すべりが発達しています.

1)更新世〜完新世の堆積物と火砕流堆積物

段丘堆積物(洪積層)や沖積層と,阿蘇山から噴出した火砕流堆積物(阿蘇4火砕流堆積物)からなる地層で,平野を構成する堆積物です.特に地質図では白抜きでaの記号で示す沖積層は比較的不安定な堆積物なので,地震の際には注意が必要です.

2)鮮新世〜更新世のアルカリ玄武岩

玄界灘・響灘の沿岸域や島々に分布する火山岩で,今回の地震で大きな被害を受けた玄界島をはじめ,震源域付近の能古島,相ノ島,小呂島にもアルカリ玄武岩が分布しています.

3)中新世から鮮新世の火山岩

本地域の南東端に分布するもので,大分など九州中軸部に広く分布する同時代の火山岩類の一部です.

4)古第三紀の堆積岩

地質図で明るい黄色や薄緑色で塗られている地層で,昭和30年代までは各地で石炭を生産していました.この地域の低い山地や丘陵はこれら古第三紀の地層からなります.この地域の活断層と同方向の断層群によって分断されて北西-南東方向に分布しており,これらの古い断層の一部が活断層としても再活動しています.

5)白亜紀の深成岩

地質図では赤やピンク,淡い紫色などで塗られている,この地質図幅の中で最も広範囲に分布する岩石です.主に花崗閃緑岩や花崗岩からなります.大量のマグマが地下深部で冷えて固まったものが,その後の地殻変動と浸食によって地表に露出したものです.玄界島の土台は白亜紀の花崗閃緑岩からできています.

6)白亜紀の堆積岩と火山岩

まだ日本がアジア大陸と陸続きだった,また恐竜の生息していた時代である白亜紀の,湖などの淡水域に堆積した地層と火山岩で,主に北九州市周辺から三郡山地などに分布し,関門層群と呼ばれます.これらの地層からは恐竜の化石も見つかっています.

7)古生代の変成岩と付加コンプレックス

この地域で最も古い時代の岩石です.三郡山地,朝倉付近の山地,背振山地などに分布し,地質図では濃い緑や青,灰色などで塗られています.変成岩と付加コンプレックスからなり,いずれもプレートの沈み込みの結果形成されたものです.変成岩は三郡変成岩,付加コンプレックスは呼野層群などと呼ばれており,平尾台の石灰岩はこの付加コンプレックスの一部です.

(地質情報研究部門尾崎正紀)