「第三報」 緊急現地調査報告 [2016年4月18日]

2016年4月18日  作成

白濱吉起1)・森  宏2)・丸山  正1)・吉見雅行2)

1) 活断層・火山研究部門活断層評価研究グループ
2) 活断層・火山研究部門地震災害予測研究グループ

 2016年4月14日及び16日に発生した地震にともない、震源域にあたる熊本県上益城郡益城町および周辺地域において、同月16日と17日の二日間、地表変状の概要把握を目的とした緊急調査を実施した(図1)。調査は16日未明のM7.3の地震の発生後である。調査の結果、震源域付近に位置する日奈久断層帯北部の高野-白旗区間と布田川断層帯の布田川区間において断続的に連なる地表地震断層を確認した(図1)。また、布田川断層帯の宇土区間に図1 緊急現地調査において確認された地表地震断層および地表変状の分布おいても地表地震断層の可能性がある地表変状が見出された。いくつかの地点では、メジャーとコンパスを用いた簡易測量により変位量を計測した。観察された地表地震断層を含む地表変状を簡単に紹介する(写真1–16)。
 なお、広島大学の中田高名誉教授、京都大学の後藤浩之准教授ならびに株式会社パスコの小俣雅志氏には地表地震断層の出現位置についての貴重な情報を提供して頂いた。

図1 緊急現地調査において確認された地表地震断層及び地表変状の分布。基図は、国土地理院発行の都市圏活断層図(池田ほか、2001)

地表地震断層と判断した地点の写真

写真1写真1

堂園集落の田畑に見られる右横ずれ変位とずれによって生じたモールトラック。写真は北東方向に向かって撮影。断層は青いビニールハウスの右を通り、山中へ続く。白矢印は断層位置、赤矢印は変位センスを表す。(2016年4月16日撮影)

写真2

堂園集落の田畑に見られる右横ずれ変位。写真は北西方向に向かって撮影。畦道を基準にした時の右横ずれ変位量は約200 cm。(2016年4月16日撮影)

写真3写真3

上陳集落の舗装道路に見られる短縮変形。写真は南東方向に向かって撮影。上下変位量は約40 cm。断層はN70E方向に続く。(2016年4月16日撮影)

写真4写真4

下陳集落西方に見られる右横ずれ変位とモールトラック。写真は北東方向に向かって撮影。右横ずれ変位量は約100 cm、上下変位量は約20 cm。(2016年4月16日撮影)

写真5写真5

三竹集落の畑に見られる縦ずれ変位。写真は北東方向に向かって撮影。上下変位量は約35 cm。奥に見える交差点付近にも同様の変位が連続。(2016年4月16日撮影)

写真6 写真6

下陳集落西方に見られるN70W走向の左横ずれ成分をともなう水田の撓曲変形。写真は西北西方向に向かって撮影。上下変位量は約15~20 cm、左横ずれ変位量は約20cm。(2016年4月16日撮影)

写真7写真7

三竹集落南西の水田に見られる右横ずれ変位。写真は北東方向に向かって撮影。断層はガードレールの歪み部分から道路を通り、奥の人家の右を通過して、写真5へと連続する。(2016年4月16日撮影)

写真8写真8

赤井集落「益城町町民いこいの家」駐車場に見られる右横ずれ変位。写真は北西方向に向かって撮影。右横ずれ変位量は約40~50 cm。(2016年4月16日撮影)

写真9写真9

砥川集落西側の水田に見られる右横ずれ変位とモールトラック。写真は北東方向に向かって撮影。(2016年4月16日撮影)

写真10写真10

砥川集落西側の水田に見られる右横ずれ変位。写真は南南東に向かって撮影。耕作跡を基準にした時の右横ずれ変位量は約50 cm。(2016年4月16日撮影)

写真11写真11

飯野小学校南の国道443号線に見られる縦ずれ変位。写真は西南西方向に向かって撮影。上下変位量は約15 cm。(2016年4月16日撮影)

写真12写真12

土山集落西方の舗装道路に見られる右横ずれ変位。写真は西方向に向かって撮影。(2016年4月16日撮影)

写真13写真13

高木集落の水田に見られる右横ずれ変位。写真は南方向に向かって撮影。右横ずれ変位量は約50 cm。(2016年4月17日撮影)

写真14写真14

上高野集落の舗装道路に見られる右横ずれ変位。写真は東方向に向かって撮影。側溝を基準とした時の右横ずれ変位量は約50 cm。(2016年4月17日撮影)

写真15写真15

櫛島集落南縁沿いの舗装道路に見られる上下変位をともなう開口亀裂。写真は東北東方向に向かって撮影。上下変位量はおよそ10 cm。亀裂は北東南西方向の田畑に断続的に分布。(2016年4月16日撮影)

写真16写真16

櫛島集落南方の地形的高まりと水田との境界に生じた南上がりの開口亀裂と南側の撓み上がりによって生じた柵の変形。写真は西南西方向に向かって撮影。上下変位量はおおよそ20 cmかそれ以上。地形境界にそって南上がりの撓みと開口亀裂が連続的に見られる。白矢印は撓みの形状を表す。(2016年4月17日撮影)

参考資料

池田安隆・千田昇・中田高・金田平太郎・田力正好・高沢信司:都市圏活断層図[熊本]、国土地理院技術資料D.1-No.368、 (2001)

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産総研地質調査総合センター