現地調査報告その1「安平町、厚真町、苫小牧市における地震被害の概査報告」

2018年9月13日  更新
2018年9月11日  開設

地質情報研究部門:中澤  努

 2018年9月7日に震央周辺の安平町、厚真町、苫小牧市のそれぞれ一部地域において地震被害の概査を実施したので報告する。

苫小牧港(東港)付近の埋立地の液状化被害

 厚真川河口の西側、苫小牧港(東港)の苫東厚真火力発電所西側の道路沿いには、液状化による噴砂と道路の波状変形がみられた(図1、2)。新旧の空中写真の比較に基づけば、この地域は埋立地に相当する(図3)。一方で、この付近から苫小牧港(西港)まで海岸沿いに続く道沿い(自然地盤と考えられる箇所)には顕著な液状化被害はみられなかった。

図1 液状化による噴砂と泥水。図1 液状化による噴砂と泥水
水たまりになっている箇所がみられるが、それ以外の箇所も道路上に泥水の乾燥した跡が広がっていることから、地震直後は噴出した泥水により広く冠水していたことが推測される。東側車線。

図2 液状化による噴砂と道路の波状変形。図2 液状化による噴砂と道路の波状変形
図1とほぼ同地点の西側車線。

図3 写真の撮影位置。図3 写真の撮影位置
新旧の空中写真の比較に基づけば、当該箇所は埋立地に相当する。
左:地理院地図1974〜1978年空中写真、右:同2007年〜空中写真。

安平町早来の市街地の被害

 安平町早来の市街地では家屋被害がみられた。しかし概査をおこなった厚真町・安平町内では、全体的に地震の揺れの大きさに比して家屋の被害はさほど著しくはないようである。
 安平町の道路沿いには、地盤の液状化によると思われるマンホールの抜け上がりや道路の変形がみられた(図4)。この箇所の旧地形は確認できていない。

図4 液状化によると思われるマンホールの抜け上がりと道路の変形図4 液状化によると思われるマンホールの抜け上がりと道路の変形

厚真町の地すべり災害

 すでに多数報道されているように、厚真町の桜丘、吉野、富里にかけての地区では、各所で多数の地すべりが発生した。一部の地すべりを遠望した限りでは、平滑なすべり面が露出し、その上位の斜面表層部の堆積物が滑落したように推測される。地すべり土塊は主にテフラ層と土壌層からなる。
【2018年9月13日追記】 厚真町富里地区の地すべり土塊から採取した試料には橙色の軽石と灰白色の軽石が含まれ、それぞれ火山ガラスの屈折率は1.532–1.538、1.496–1.503でした。よって橙色軽石は樽前dテフラ(約9000年前)、灰白色軽石は樽前aテフラ(約300年前)を起源とすると考えられます。これらは斜面のごく表層に分布するテフラです。今回の地すべり災害はこれら表層のテフラ層と土壌層を主体とした堆積物の移動によるものと推測されます。

図5 厚真町吉野地区の厚真川の低地沿いに3 km以上にわたりほぼ連続して発生した地すべり図5 厚真町吉野地区の厚真川の低地沿いに3 km以上にわたりほぼ連続して発生した地すべり
厚真川の低地の対岸側より遠望。

図6 厚真町富里地区の地すべり図6 厚真町富里地区の地すべり
平滑なすべり面が遠望され、主に斜面表層部の堆積物が滑落した様子がうかがえる。

図7 地すべり土塊の末端部付近図7 地すべり土塊の末端部付近
地すべり土塊は観察した限りでは主にテフラ層と土壌層からなる。全体に水分を多量に含むわけではない。
厚真町富里地区。

図8 安平町、厚真町の被害写真の撮影位置。背景図は20万分の1日本シームレス地質図を使用。図8 安平町、厚真町の被害写真の撮影位置
背景図は20万分の1日本シームレス地質図を使用。

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