新潟県中越地震に関する用語解説

液状化(えきじょうか),液状化現象(えきじょうかげんしょう)

地層は普通は固体ですが,地震により液体のように動くことがあります.このように,急激な力を受けたとき,地層を構成する砂などの粒子の間を満たしている水の圧力が増し,地層全体として液体のようにふるまうことを液状化または液状化現象と呼びます.低地の水分を多く含んだ地層は,比較的液状化を起こしやすく,そのような地層を基礎に作られた建物や道路などは,地震の際に大きな被害を受けることがあります.

海成層(かいせいそう)

海底に堆積してできた地層のことです.陸から海底に河川などで供給された泥,砂,石や,海底に噴火・堆積した火砕物(かさいぶつ;火山砕屑物の略語,火砕岩の項目参照),プランクトンなどの 生物遺骸などで構成されます.

火砕岩(かさいがん)

火山砕屑岩(かざんさいせつがん)の略語です.火山噴火に伴い噴出した細かく砕かれた物質(軽石や火山灰などで,まとめて火山砕屑物と呼ぶ)が堆積し固結した岩石のことです.含まれる粒子の大きさと量比で凝灰岩(ぎょうかいがん)や凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)などに区分されます.

活褶曲(かつしゅうきょく)

新しい地質時代にできた褶曲で,将来も成長する可能性のある褶曲のことです.

活断層(かつだんそう)

新しい地質時代に繰り返し活動し,将来も活動する可能性のある断層のことです.

活動度(かつどうど)

活断層のずれが,千年あたりどの程度ずれるのかを示した指標のことで,数メートルずれるものはA級,数十センチメートルずれるものはB級,数センチメートルしかずれないものはC級と呼ばれています.同じ活動度でも,1回の活動で大きくずれる活断層は長い間隔で,少しずつしかずれない活断層は短い間隔で活動することになります.

基盤(きばん)

取り上げている地質に対して相対的に古い地質をこう呼ぶことがあります.基盤は,通常はより固い地質となっています.平野部の浅いところにある軟らかい地質に対し,平野部の地下深くや山間部にある地質は基盤と呼ばれ,固く締まっていることが多く,地震によるゆれも平野部に比べて小さい傾向があります.

逆断層(ぎゃくだんそう)

断層の中で,外から押すような力が加わってできるもので,断層を境に両側が短縮するように動いた断層のことです.

丘陵(きゅうりょう)

丘陵は海面からの高度300m程度の緩やかな斜面や谷底を持つ地形を指します.ただし,山地や平野との区分は相対的なもので,厳密な定義はありません.

共役断層(きょうやくだんそう)

断層が発生するときに,一度に2方向のものが交わるようにできる断層のことを言います.この2方向の断層は,ずれの向きが互いに逆方向になるという特徴をもっています.

構造線(こうぞうせん)

地質時代に繰り返し活動し,その両側で地質や地質年代が大きく異なるものが接するようになった断層のことで,幅の広い破砕帯(岩石が細かく砕かれて粘土化したもの)を伴うものが多く見られます.

地震断層(じしんだんそう)

大地震に伴って地表に現れたずれや段差のことで,通常は地震を発生させた地下の震源断層と直接関係するものを地震断層と呼びます.地下の震源断層と区別するために,地表地震断層と呼ぶこともあります.

斜面崩壊(しゃめんほうかい)

山地の斜面が集中豪雨や地震などにより急激に崩れ落ちる現象のことです.一般的に山崩(やまくず)れ,崖崩(がけくず)れ,土砂崩れと呼ばれるのものと同じです.岩石の風化(ふうか;雨や風の作用により岩石が細かくなり崩れやすくなる現象)が進むことにより,斜面崩壊が起こりやすくなります.

褶曲(しゅうきょく)

地質構造の中で,外からの力で地層(層状に重なった地質)が曲げられた状態を示す言葉です.地質が比較的柔らかい場合や温度が高い条件に置かれた場合に褶曲になります.

震源断層(しんげんだんそう)

地震は地下の岩盤がずれ動くことによって発生します.このずれのことを震源断層と呼びます.

正断層(せいだんそう)

断層の中で,外から引っ張るような力によってできるもので,断層を境に両側が伸びるように動いた断層のことです.

鮮新世(せんしんせい)

新第三紀のうち,後半の約530万年から180万年前までの地質時代のこと.

第三紀(だいさんき)

新生代(しんせいだい;約6500万年前から現在まで)のうち,約180万年以前までの約6300万年間の地質時代のこと.古いほうから暁新世(ぎょうしんせい)・始新世(ししんせい)・漸新世(ぜんしんせい)・中新世(ちゅうしんせい)・鮮新世(せんしんせい)に区分され,含まれる生物化石群の違いから前三者を古第三紀(こだいさんき),後二者を新第三紀(しんだいさんき)といいます.新潟や東北地方の広い範囲には,中新世以降の海成層が分布しています.

第四紀(だいよんき)

新生代のうち,約180万年以降,現在までの地質時代のこと.更新世(こうしんせい)と約1万年前の最終氷期が終わってからの完新世(かんしんせい)に区分されます.時代が新しいため,第四紀の地層は,火山岩などを除くと一般に未固結で柔らかい堆積物です.

段丘(だんきゅう)

周囲より一段高くなっている平坦地のことです.しばしば,丘陵低地の間に見られます.段丘ができている場所は昔川や海であったところで,堆積物が水平にたまることにより平坦面ができました.

断層(だんそう)

地質構造の一種で,ある地質が外から力を受けた結果,割れてずれた地質の割れ目のことです.

地質(ちしつ)

ある地域に分布する堆積物や岩石をまとめてこう呼びます.

地質構造(ちしつこうぞう)

ある地質が外から力を受けた結果,割れてずれたり曲がったりしたものをまとめてこう呼びます.

地質図(ちしつず)

地質がどのように分布しているのか,またはどのような地質構造がみられるのかなどを表現した地図のことです.

地層(ちそう)

泥,砂,石などが,水中や陸上で降り積もることによってできた,水平に広がった層状の地質を地層といいます.地層がいくつか重なっている場合,下のものほど古く,上のものほど新しいという大原則があります.

中新世(ちゅうしんせい)

新第三紀のうち,前半の約2300万年前から530万年前までの地質時代のこと.中新世の約2000万〜1500万年前に日本海がつくられ,それに伴い大量の火山岩や凝灰岩などの火砕岩が海底に厚く堆積しました.

低地(ていち)

単にまわりよりも低い土地という意味で使われることもありますが,丘陵に対して,海面からの高度200m程度以下の土地をまとめてこう呼ぶ場合もあります.ただし,山地や丘陵との区分は相対的なもので,厳密な定義はありません.

土砂崩(どしゃくず)れ

土砂崩れは,山地の斜面が集中豪雨や地震などにより急激に崩れ落ちる現象のことで,斜面が崩れて土や砂まじりになるのでこう呼ばれます.地質学的に定義された用語ではなく,斜面崩壊とほぼ同じ意味です.

土石流(どせきりゅう)

表土や礫などが水と一体となって流れ下る現象のことで,岩塊や流木などを含み破壊力が非常に大きいのが特徴です.浸食力も大きく,削剥(さくはく)した土砂や礫を巻き込み,さらに体積が増えることがあります.大量の降雨などで発生するほか,崖崩(がけくず)れでせき止められた河川の水が,あふれて一度に流下することなどでも発生します.

軟弱層(なんじゃくそう)

非常に軟らかい粘土や砂からできている地層のことです.このような地層は,力を受けると変形しやすいので,地盤沈下(じばんちんか)や地すべりが発生しやすい特徴があります.地震の時には揺れが大きくなり,地層の液状化現象による被害が発生しやすくなります.日本の大都市の多くが,この軟弱層の上に立地しています.