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地質調査研究報告 Vol.77 No.2(2026)
表紙
Berea砂岩コアでのCO2 drainageにおけるCO2流路の形成
Berea砂岩は孔隙率の異なるmmスケールの層構造を有し,塩水に飽和されたコアにCO2を注入すると層構造に平行なCO2流路が形成される.
左上:コア軸を含む層構造断面の孔隙率の分布を示す.孔隙率の大きい赤‒黄の層と孔隙率の小さい青‒緑の層が存在する.
左下:水銀ポロシメータで計測された孔隙径に対する孔隙体積の分布.横軸は孔隙径の対数,各孔隙径に対応する正規化された孔隙体積.孔隙径の分布は二つのピークから成り,それぞれporeとpore throatと呼ばれる部分に対応する.高孔隙率層は大きい孔隙をつなぐpore throat部分の体積が大きい.
右:コア断面図.上部は下部点線部分の二か所での断面.実験時は層が重力方向とほぼ一致する方向に配置.孔隙径が小さく孔隙圧が高いため置換流体の密度差による浮力は影響しない.高孔隙率層に選択的に流路が形成される.一定注入レート(0.5 mL/min)での異なる注入量(全孔隙体積との比率PV)に達した状態の流路である.
(図は右記を加筆修正:Zhang et al., 2014: Geophysical Journal International, 197(3), 1789–1807,
文:西澤 修・中島善人)
目次
全ページ PDF : 77_02_full.pdf [21MB]
| タイトル | 著者 | |
|---|---|---|
| 総説 | ||
| 砂岩中の不混和流体の流動:流路形成とganglion dynamics | 西澤 修・中島善人・小暮哲也・張 毅・薛 自求 | 77_02_01.pdf [15.7MB] |
要旨集
砂岩中の不混和流体の流動:流路形成とganglion dynamics
西澤 修・中島善人・小暮哲也・張 毅・薛 自求
地殻には様々な流体が存在するが,塩水中の石油や天然ガスのように不混和2相を形成するものがある.最近,人類が排出したCO2による気候変動を緩和する方法として地下の帯水層にCO2を注入するCCS(Carbon Capture and Storage)が有効であるとされ,塩水と超臨界CO2から成る不混和2相流体の多孔質岩石中での流動に関する研究が行われている.この分野はこれまで地下水,石油,天然ガスなどの資源関連分野で研究がなされてきたが,流動メカニズムの基礎的研究の成果は他の地球科学分野にとっても有用である.特に,岩石に対する流体の濡れ性の違いや,流速の違いが流路に様々な影響を与える.水や塩水は岩石に対する濡れ性流体であるが,石油やガス(超臨界状態CO2も含む)は非濡れ性流体である.孔隙中では濡れ性流体と非濡れ性流体の間に生じる圧力差が不混和流体の流動を支配する.そのため,流体移動を支配する岩石固有の物性値としての浸透率は流動の実態を反映しない.不混和流体の流動に関する研究はCCSだけでなく,火山,地震などの災害分野,地下水,土木の分野,及び地球科学の学術分野にも有用な知見を与えるであろう.本稿では不混和2相流体流動に関する基礎事項と最近の研究動向を紹介する.
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