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地質調査研究報告 Vol.63 No.3/4 (2012)

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表紙

安達太良山山頂の安達太良岳テフラ

安達太良山山頂の安達太良岳テフラ

安達太良岳テフラは、安達太良火山で約12万年前に起きた大規模なプリニー式噴火の堆積物で、その総噴出量は約2×10 km3DREに達する。写真基部の赤褐色部が噴火前の地表で、これを覆う白色部が非溶結のデイサイト軽石降下堆積物、上部の暗灰色が溶結した安山岩スコリア降下堆積物からなる。

(写真・文:山元孝広)

目次

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タイトル著者PDF
概報
福島-栃木地域における過去約30万年間のテフラの再記載と定量化 山元孝広 63_03_01.pdf [10MB]
論文
産総研ボアホール歪計で計測された歪変動とGPS観測との比較 大谷竜・松本則夫・名和一成・板場智史 63_03_02.pdf [4MB]
エアロゾルにより輸送された放射性核種の観測 (2011)
-福島第一原子力発電所事故に関連して-
金井豊 63_03_03.pdf [1MB]
概報
秩父盆地尾田蒔丘陵にみられる中期更新世テフラの記載岩石学的特徴

坂田健太郎・中澤努・中里裕臣

63_03_04.pdf [1MB]

要旨集

福島-栃木地域における過去約30万年間のテフラの再記載と定量化

山元孝広

福島—栃木地域に分布する過去約30万年間のテフラを、未公表資料を追加して層序・分布・構成物・噴火年代・マグマ体積について再記載した。これらのテフラは吾妻火山、安達太良火山、磐梯火山、砂子原カルデラ、沼沢火山、二岐山火山、那須火山群、高原火山、燧ヶ岳火山、鬼怒沼火山、日光火山群、飯士火山、赤城火山から噴出したものである。既報のいくつかのテフラ噴出年代には修正の必要なものがあるほか、一部のこれまでの研究には明らかなテフラ対比上の問題が含まれている。

産総研ボアホール歪計で計測された歪変動とGPS観測との比較

大谷竜・松本則夫・名和一成・板場智史

数ヶ月程度のタイムスケールでの歪計の測定の特性を調べるために、産総研のボアホール歪計観測点7点における、水平面内の3方向の線歪の観測値と、歪計観測点を取り囲む周囲の国土地理院のGPS連続観測点から計算された値との比較を行った。多くの観測点で、数ヶ月程度の変動として季節変動的な成分が、歪計とGPS共に認められた。しかしながら、両者の間には必ずしも整合的な対応が見られなかった。その原因として、歪計に含まれる、単純なモデリングでは除去できないドリフト等、観測点固有の起源が考えられる。

エアロゾルにより輸送された放射性核種の観測 (2011)
-福島第一原子力発電所事故に関連して-

金井豊

物質循環のトレーサーとしての地球科学的知見を得ると同時に地域住民の不安感の払拭にも貢献するため、人工放射性核種の観測・定量手法を検討し、福島第一原子力発電所事故後のエアロゾル観測を行い、2011年3月末から12月までの観測データを検討した。
鉱石等の標準線源試料を用いて検出効率を求め、カスケード崩壊するCs-134の定量にはCs-134 / Cs-137比の変化からサム効果の補正法を確立した。3月末のエアロゾル観測開始時から検出された種々の人工放射性核種は、Cs-134とCs-137を除いて6月末にはほとんどが検出限界以下となった。観測期間中の放射性核種の濃度は、いずれも健康を害するレベルではなかった。観測の時間分解能が低いことや事故後の時間が経過していたことから、エアロゾル中のCs-137濃度に対する気象の影響は不明瞭ながらも、サンプリング期間中の雨量や風向が影響している傾向が認められた。