2020年度第1回 追加 地質調査研修終了報告

 茨城県つくば市の産業技術総合研究所第7事業所(地質調査総合センター)、茨城県ひたちなか市および福島県いわき市周辺地域において10月12日〜10月16日に、地質図を作成した経験はないが、今後業務として、その技術・知識や作成に関わる工程を知っておきたいという方を対象に地質調査研修を開催しました。今回(第1回 追加)は、初心者向けのニーズが高かったことから、通常の回(第1回:9月28日〜10月2日開催) の研修枠を増やして実施したものです。参加者は6名です。
 前回(第1回)に続き今回も、前半の2日間に産総研内のセミナー室座学で基礎知識を学んでいただき、後半の3日間に野外に出かけて実地調査を体験いただくという形で実施し、室内座学の主講師を柳沢幸夫が務め、利光誠一、眞弓大介、荒岡大輔が補助を務めました。野外研修では、利光が主講師、眞弓が補助を務めました。
 カリキュラム構成は第1回の研修とほぼ同じですが、前回の研修後の自己点検を踏まえ、一部を見直して座学を実施しました。前回同様、講義の合間に体験型の演習を挟んで、より理解がしやすいように、そして幅広く基礎知識を習得していただくことに努めました。
 野外では、天候を見ながら前回とは研修コースの順番を入れ替えるなどしました。野外においても、調査後の夜間に調査のまとめと質疑応答などを行い、地質図作成の一連の技術習得に励んでいただきました。

[研修概要]

10月12日:
産総研内の講義室での実習:「地質調査とは」、「露頭観察とは」、「粒度表の作成」、「岩石標本観察」、「走向傾斜測定」など。
10月13日:
産総研内の講義室と屋外での実習:「ルート調査とは」、「ルートマップ予習」、「対比・地質図」、「地質図学」、「地質図の読み方」など。
10月14日:
野外での地質調査の研修:茨城県ひたちなか市那珂湊海岸で地層観察と柱状図の作成、福島県広野町で新第三紀の1300万年ほどの時間間隙を持つ白土層群吉野谷層と仙台層群大年寺層の傾斜不整合および生痕化石の観察、いわき市久之浜町などで古第三紀の白水層群石城層の観察と走向傾斜の測定、同市大久町で石城層と後期白亜紀の双葉層群玉山層の不整合の説明など。夜のまとめ作業で、柱状図などの墨入れ後、昼間訪れた双葉層群と白水層群の不整合地点からの地層境界線の広がりの予測図の作成など。
10月15日:
野外での地質調査の研修:いわき市久之浜町・大久町で双葉層群と白水層群の不整合観察とその広がりの調査。付近での双葉層群内の堆積構造の観察、断層の新旧関係の観察。夜のまとめ作業で、昼間観察した双葉層群と白水層群の不整合露頭の位置を地図上に落として地層境界線の広がりを地質図としてまとめる作業(簡単な地質図の作成)など。
10月16日:
野外での地質調査の研修:いわき市アンモナイトセンター見学、広野町で白水層群石城層の中の石炭層の観察、新第三紀の湯長谷層群椚平層凝灰岩の観察、双葉層群と基盤の花崗岩類(前期白亜紀)との不整合の観察など。最後に、研修調査地域の地史のまとめ。

 研修内容については盛りだくさんではありましたが、研修最終日には参加者から「会社の後輩にも勧めたい」などの声もあがるなど、概ね好評のようでした。同時に今後の修練が必要なことも実感いただいたと思います。
 本研修の実施にあたり、公益財団法人いわき市教育文化事業団いわき市アンモナイトセンター、および茨城大学理工学研究科安藤寿男教授に大変お世話になりました。地質標本館および地質調査総合センターのスタッフからの教材提供などの協力も得ました。この場をお借りして御礼申し上げます。

2020年度第1回 追加 地質調査研修
2020年度第1回 追加 地質調査研修
2020年度第1回 追加 地質調査研修
2020年度第1回 追加 地質調査研修
2020年度第1回 追加 地質調査研修
2020年度第1回 追加 地質調査研修

2020年度第1回 追加 地質調査研修

日程 2020年10月12日(月)-10月16日(金)
研修場所 室内座学:茨城県つくば市(産総研)
野外研修:茨城県ひたちなか市、福島県いわき市
研修内容 最近はルートマップを書いたことがあっても地質図を書いた経験のない方、岩石の見方に不安がある方など、地質調査の基本である踏査に関し、大学で充分な経験が積めなかった方もいらっしゃいます。この研修では、まず室内で岩石の見方等を理解した上で、野外での地層・岩石の観察ポイントからまとめまで、地質図を作成するための基本的事項を5日間の研修で習得します。少人数でマンツーマンに近い形での研修となります。
※今回は特に企業の地質初心者が対象となります。
※経験者(卒論等で地質図を描いたことがある方)向けは第2回にお申し込みください。
定員 定員 6名(最小催行人数:4名)募集終了
講師 利光誠一博士
地質調査総合センターにおいて、多くの地質図幅の作成を行い、白亜紀大型化石、層序の研究を行うと共に、地質標本館館長として、地質学の普及に努めてきました。
他2名(うち1名は室内研修講師)
集合 産総研 10/12 10時(予定)
解散 産総研 10/16 17時(予定)
CPD 40単位 (40単位になるよう、時間を調整して指導を行います)
参加費 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」に60口(1口1000円)の会費が必要です。
注意事項 お勤めの方は労災保険の対象となるよう職務として参加してください。
現地までの交通費と宿泊代(4泊)・食事代は参加者負担となります。日程のうち、前半は産総研内の宿泊施設、後半の野外研修では、いわき市の宿泊施設を予定しています。(詳細は参加者の方に個別にご連絡いたします。)
参加には別途傷害保険をおすすめします。
学生・院生の方で参加されたい場合は、別途お問い合わせください。
新型コロナウイルス感染防止の対策は行いますが、情勢を踏まえ、中止とさせていただく場合もございます。
申し込み・
問い合わせ
training-gsj-ml(a)aist.go.jp ※(a) 部分を @ に置き換えて下さい。
主催

産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」 運営会則(pdf:76KB)