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地質調査研究報告 Vol.76 No.6(2025)
表紙
近畿地方北部における超丹波帯付加複合体の分布と層序区分
超丹波帯は西南日本内帯における地体構造区分の一単元であり,主に付加複合体が分布する.その形成時期は従来ペルム紀中頃‒後半であると考えられていたが,三畳紀中頃まで継続したことが近年,明らかにされた.本研究では,それぞれ固有の層序的岩相変化を保持する複数の層序型に類別できることを示した.これに基づくと超丹波帯の標準層序単元として,上滝コンプレックス(砂岩優勢型),氷上コンプレックス(泥岩砂岩型),大飯コンプレックス(チャート砕屑岩型),上月コンプレックス(混在岩型)および十倉層・大稗層(互層型)に区分可能である.
(図・文:中江 訓)
目次
全ページ PDF : 76_06_full.pdf [21MB]
| タイトル | 著者 | |
|---|---|---|
| 論文 | ||
| 近畿地方北部の超丹波帯付加複合体における層序型の類別と付加環境の変遷 | 中江 訓 | 76_06_01.pdf[21MB] |
要旨
近畿地方北部の超丹波帯付加複合体における層序型の類別と付加環境の変遷
中江 訓
近畿地方北部の超丹波帯は西南日本内帯における地体構造区分の一単元であり,その構成層は主にペルム紀中頃–後半に形成された付加複合体であると考えられてきた.
本研究では,各地域において先行研究により区分された層序単元の根拠・妥当性について,岩相・層序・化石年代などの観点から再検討を実施した.その結果,多くの地域で層序単元境界の修正が必要であり,放散虫化石種の同定とそれに基づく年代に多くの疑義が生じることが判明した.そこで,一部地域での地質調査,砂岩組成解析,ジルコンU–Pb年代測定を新規に実施しその成果を併せて,各地域における個別柱状図あるいは統合柱状図を作成することにより,各層序単元を特徴づける固有の層序的岩相変化(‘基礎層序’)を明確にすることができた.またそれは,互いを識別し別個の層序単元を構成すると判断し得る重要な指標となる.それ故,基礎層序を層序単元区分の基準に据えると,これは砂岩優勢型・泥岩砂岩型・チャート砕屑岩型・混在岩型・互層型の五つの層序型に類別できることが判明した.さらに基礎層序の違いは,超丹波帯構成層の標準層序単元として下位から,上滝コンプレックス(砂岩優勢型),氷上コンプレックス(泥岩砂岩型),十倉層・大稗層(互層型),大飯コンプレックス(チャート砕屑岩型),上月コンプレックス(混在岩型)の区分を可能とする.
基礎層序の構成と最終堆積時期(付加時期)の相関から,層序型はペルム紀–三畳紀境界付近を境に新旧二つ(チャート砕屑岩型・混在岩型と砂岩優勢型・泥岩砂岩型)に区分できることも明らかとなり,これらの層序型群は互いに異なる付加様式を経て形成された可能性を示唆する.その背景として,ペルム紀–三畳紀境界で汎世界的な気候変動が起こったことが知られているが,その因果関係についての議論は今後の課題として残される.
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