地質調査研究報告 トップへ

地質調査研究報告 Vol.70 No.3(2019)

表紙

関東地域の地殻内応力マップ

関東地域の地殻内応力マップ 地震データの分析から,関東地域の10 km メッシュの地殻内応力マップを求めた.色付きのシンボルは最大水平圧縮応力方位を示す.シンボルの色は応力場のタイプを表しており,タイプが決められなかった場合は黒で表示している.過去約14 年間にわたる小地震データを分析したことで,先行研究よりも応力場の空間分解能を格段に高くすることができ,複雑な応力場の実態が明らかになった.詳細は本号の今西ほか(2019)を参照.赤線は活断層(活断層研究会,1991)を示す.基図は20万分の1日本シームレス地質図 V2(https://gbank.gsj.jp/seamless/v2.html 2019年4月15日参照).

※表紙の図の訂正を行いました。
訂正箇所 :基図の20万分の1日本シームレス地質図 V2がV1であったため、 V2に差し替え
2019年7月11日  改訂

(図・文:今西和俊・内出崇彦・大谷真紀子・松下レイケン・中井未里)

目次

全ページ PDF : 70_03_full.pdf [18MB]

タイトル著者PDF
論文
関東地域の地殻内応力マップの作成 今西和俊・内出崇彦・大谷真紀子・松下レイケン・中井未里 70_03_01.pdf [11.5MB]
関東山地に分布する北部秩父帯付加コンプレックス柏木ユニットのジルコンU–Pb年代 冨永紘平・原 英俊・常盤哲也 70_03_01.pdf [5.3MB]

要旨集

関東地域の地殻内応力マップの作成

今西和俊・内出崇彦・大谷真紀子・松下レイケン・中井未里

 関東地域の地殻応力マップを作成するため,過去14年間にわたるマグニチュード1.5以上の地震の発震機構解を決定した.気象庁一元化カタログや我々の先行研究の結果もコンパイルし,10 kmメッシュの応力マップとして纏めた.小さな地震まで解析して発震機構解データを増やしたことで,先行研究よりも応力場の空白域が減少し,さらに応力場の空間分解能を格段に高くすることができた.得られた応力マップは非常に複雑な様相を示しており,最大水平圧縮応力方位(SHmax)が急変する場所があること,伊豆半島から北部に向けてSHmaxが時計回りに回転すること,数十kmスケールの複数の応力区が確認できること,太平洋沿岸域は正断層場が卓越するなどの特徴が明らかになった.これらの特徴は,この地域のテクトニクスの理解や将来の地震リスクを評価する上で重要な情報である.

関東山地に分布する北部秩父帯付加コンプレックス柏木ユニットのジルコンU–Pb年代

冨永紘平・原 英俊・常盤哲也

 柏木ユニットは北部秩父帯付加コンプレックスの中で最も若いユニットである.本研究では,関東山地における柏木ユニットの砂岩及び珪長質な凝灰質千枚岩のジルコンU–Pb年代測定を行い,それらの堆積年代を決定した.その結果,砂岩2 試料から128.2 ± 1.4 Maと126.7 ± 2.0Maの年代が,凝灰質千枚岩から134.2 ±1.5 Maの年代がそれぞれ得られた.従来,中期ジュラ紀から前期白亜紀までの幅広い年代が頁岩や珪質頁岩中の放散虫化石から報告されていた.しかし,砂岩から得られた年代は,柏木ユニットの頁岩及び珪質頁岩から報告されていた放散虫化石年代より若い,前期白亜紀のバレミアン期以降となることが明らかになった.