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地質調査研究報告 Vol.66 No.11/12 (2015)

表紙

新潟県青海石灰岩産後期石炭紀フズリナ化石 Fusulinella biconica (Hayasaka)

レーザーアブレーションICP-MS で分析した単斜輝石 青海石灰岩はペルム紀付加体秋吉帯に属する海洋島起源の礁成石灰岩である.海洋島起源の石灰岩は概して炭酸カルシウムの純度が高く,鉱業的な価値が高いが,一部でリンが偏在して高い含有量を示し,そのような高リン石灰石は鉄鋼・カーバイド用の原料としては不向きとされる.示準化石であるフズリナ化石に基づき石灰岩を分帯し,時代・岩相ごとに化学分析を実施することで,リン偏在の実態を明らかにすることができる.

(写真・文:中澤 努)

目次

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概報
秋吉帯の海洋島起源の石炭紀—ペルム紀石灰岩におけるリンの偏在 坂田健太郎・中澤 努・岡井貴司・上野勝美 66_11_01.pdf [2.2MB]

 

要旨集

秋吉帯の海洋島起源の石炭紀—ペルム紀石灰岩におけるリンの偏在

坂田健太郎・中澤 努・岡井貴司・上野勝美

 海洋島起源の石灰石鉱床は炭酸カルシウムの純度が高いことを特徴とするが,場所によりリンが多く含まれることが知られており,そのような石灰石は鉄鋼・カーバイド用原料としては不向きである.合理的な鉱山開発のためにはリンの偏在の実態を把握することが重要と考え,秋吉帯の石炭紀–ペルム紀の海洋島起源の石灰岩について年代・堆積環境ごとにリン含有量を測定した.その結果,礁中核部ではビゼーアン期,サープコビアン期及びグゼリアン期の石灰岩に比べてバシキーリアン期及びモスコビアン期の石灰岩にリン含有量が高いものがしばしばみられること,背礁ではそれらの年代でもリン含有量が低いことが分かった.また,リン含有量は石灰岩中に二次的に沈積するとされる鉄やアルミニウムの含有量とは相関がみられないことから,リンが初生的であることがうかがえる.バシキーリアン期及びモスコビアン期にかけて礁周辺の海水は栄養塩が豊富であったことが推定され,その要因として同時期のパンサラッサ海におけるスーパープルームの活動とそれに伴う海水準の上昇や湧昇流の存在が考えられる.