地質調査研究報告 トップへ

地質調査研究報告 Vol.63 No.1/2 (2012)

表紙 | 目次 | 要旨集

表紙

長野県飯田市、卯月山苦鉄質複合岩体のスピネル-かんらん石キュムレイト

長野県飯田市、卯月山苦鉄質複合岩体のスピネル-かんらん石キュムレイト

領家帯中には苦鉄質深成岩の小岩体が点在することが知られている。卯月山苦鉄質複合岩体は、領家帯中の苦鉄質深成岩体の中で、最も未分化なマグマに由来したと考えられる岩体のひとつである。写真は、スピネル + かんらん石の組合せがマグマから平衡にキュムラス鉱物として晶出した後、粒間の残液からポスト・キュムラスに単斜輝石及び斜方輝石が晶出したことを示す。このスピネル-かんらん石キュムレイトのかんらん石のFo値は最高85程度であり、未分化苦鉄質マグマの結晶作用のごく初期の産物であると考えられる。クロスニコル、写真の長辺約6 mm.

(写真・文: 山崎徹)

目次

全ページ PDF : 63_01_full.pdf [20MB]

タイトル著者PDF
論文

長野県飯田市、卯月山苦鉄質複合岩体の岩石学的性質

—領家帯における苦鉄質火成作用の成因解明への予察的検討—
山崎徹・青矢睦月・木村希生・宮崎一博 63_01_01.pdf [10MB]

北海道当別町太美地区で掘削された沖積層ボーリングコア (GS-HTF-1) の層序学的及び堆積学的解析

川上源太郎・嵯峨山積・仁科健二・中島礼・廣瀬亘・大津直・木村克己 63_01_02.pdf [7.5MB]

要旨集

長野県飯田市、卯月山苦鉄質複合岩体の岩石学的性質
—領家帯における苦鉄質火成作用の成因解明への予察的検討—

山崎徹・青矢睦月・木村希生・宮崎一博

領家帯における苦鉄質マグマ活動の成因解明への予察的検討として、長野県飯田市、卯月山苦鉄質複合岩体の岩石学的性質を明らかにした。岩石の組織、鉱物組合せ及び鉱物化学組成の検討の結果、この岩体を構成する苦鉄質深成岩類は、かんらん石とスピネル、単斜輝石、斜方輝石、斜長石そして角閃石の順に含水苦鉄質・非アルカリ質の親マグマからの結晶作用により形成されたキュムレイトであることが明らかとなった。

北海道当別町太美地区で掘削された沖積層ボーリングコア (GS-HTF-1) の層序学的及び堆積学的解析

川上源太郎・嵯峨山積・仁科健二・中島礼・廣瀬亘・大津直・木村克己

北海道当別町太美で掘削した沖積層ボーリングコアGS-HTF-1は、堆積相、産出する珪藻並びに貝化石、14C年代から、下位より礫質河川堆積物 (ユニット2) 、蛇行河川の堆積物  (ユニット3) 、内湾~湾口砂体~デルタフロントの堆積物  (ユニット4) 、塩水湿地及び河川堆積物 (デルタプレーン堆積物) (ユニット5) に区分される。各ユニットにおける堆積物物性・粒度組成は層相と対応する。また堆積物懸濁液のpH・ECの値は解釈された堆積環境と相関しており、ユニット4では他ユニットと比べて値がやや高く、堆積場における海水の寄与を反映する。ただし、内湾泥層  (ユニット4-a) のpH、ECは河川層と同程度の低い値を示した。13試料の14C年代から作成した堆積曲線によると、礫質河川から蛇行河川環境への転換は12,000 cal BP頃、河川から内湾環境への転換は9,000 cal BP頃である。また縄文海進最盛期の8,000 cal BP頃に湾口砂体が湾奥に急速に前進し、高頂期の8,000~7,000 cal BP頃には海側へ後退的に累重した。7,000 cal BPにはデルタフロントが到達し、湾口砂体を覆った.