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地質調査研究報告 Vol.60 No.7/8 (2009)

表紙 | 目次 | 要旨集

表紙

北硫黄島

北硫黄島

   北硫黄島は東京の南方約 1,200 kmに位置する第四紀火山である。明治時代、八丈島の石野平之丞が入植し、最盛期には200〜300人が居住していたというが、1944年以降は無人となっている。写真は南方海上から見たものだが、絶えず崩落が続く崖には無数の岩脈がむき出しになっている。写真中央の山頂 (標高792 m) は雲がかかって見えないが、その右奥に標高700〜720 m、三万坪と呼ばれた平地があり、かつては牛の放牧地だったという。人も牛もどのように行き来していたのか・・・。サンゴ礁が島を取り囲み、船が近づけないため瀬渡しによる上陸はできない。東海岸にはかつての桟橋の名残があるが、常に波が高く、ゴムボートでの上陸も容易ではない。

(写真と文 : 中野  俊)

目次

タイトル著者 PDF
概報
磁性からみた蛇紋岩化度:北海道岩内岳超苦鉄質岩体を例として 森尻理恵・中川  充 (381-394) 60_07_01.pdf [1 MB]
火山列島、北硫黄島火山の地質概要 中野  俊・古川竜太 (395-405) 60_07_02.pdf [2.5 MB]
オホーツク海中央海底の堆積物直上海水の全可溶マンガン・鉄濃度 川村紀子・YK07-12乗船研究者一同 (407-412) 60_07_03.pdf [1 MB]
総説
我が国における地下岩盤内の初期地圧状態 -応力解放法による実測データに基づく- 長  秋雄・国松  直・金川  忠・藤井真希・横山幸也・小川浩司・田仲正弘 (413-447) 60_07_04.pdf [7.4 MB]
資料・解説
栃木県喜連川丘陵で掘削された風成堆積物のテフラ層序 桑原拓一郎 (449-455) 60_07_05.pdf [1 MB]

要旨集

火山列島、北硫黄島火山の地質概要

中野  俊・古川竜太

   東西約2.1km、南北約3.3km、標高792mを有する北硫黄島は伊豆・小笠原弧、火山 (硫黄) 列島最北端の火山島である。不整合関係をもとに古期火山及び新期火山に区分されるが、岩質・岩相に大きな変化はなく、いずれも玄武岩質の溶岩・火砕岩が累重する成層火山体で、山体の浸食が著しい。海食崖では、多くは厚さ2m以内の多数の放射状岩脈が貫き、167本を数える。玄武岩は SiO2=47.3-51.2wt.% であるが、そのほか安山岩質の岩脈 (SiO2=58.6wt.%) も認められた。化学組成上いずれも low-K ないし medium-K 系列に属する。

オホーツク海中央海底の堆積物直上海水の全可溶マンガン・鉄濃度

川村紀子・YK07-12乗船研究者一同

   オホーツク海中央部の堆積物直上海水中の全可溶マンガンや鉄濃度を調査する目的で、8 本のマルチプルコア試料が採取された。堆積物直上海水の pH、溶存酸素濃度、全可溶マンガン及び鉄量の測定を行なった。溶存酸素と全可溶鉄濃度には、強い負の相関が認められた。また、これまでの研究にて報告された結果と比べて、いくつかの地点では本研究で示された全可溶鉄量が比較的高いことが明らかとなった。以上から、これらの地点の海水-堆積物境界では比較的還元的な状態にあり、鉄が堆積物からが溶出していることが示唆される。

我が国における地下岩盤内の初期地圧状態
-応力解放法による実測データに基づく-

長秋雄・国松直・金川忠・藤井真希・横山幸也・小川浩司・田仲正弘

   初期地圧は、地下岩盤開発における地下構造物の建設・維持の安全性に必要な情報として、これまで測定されてきている。しかし、過去に実施された測定結果は非常に貴重なデータにも関わらず、データベース的な意味でそれらを収集整理した文献は見当たらない。
   本論文では、過去に公表された 75 論文に掲載された初期地圧測定結果について、初期地圧の値とともに初期地圧状態の考察において必要と思われる項目 (例えば、測定位置の被り深さ、岩種など) を収集・整理した。また、可能な限り測定位置の応力状態が理解できるように、公表されたデータから三次元主応力とそれらの方向余弦・6 応力成分・水平面内主応力・鉛直応力等を計算し、データベースとしての視点のもとに一覧表形式で表示した。収録データをもとに、初期地圧と被り深さとの関係、初期地圧と測定標高との関係、初期地圧と岩級との関係などについて、岩種を区分 (堆積岩、火成岩、変成岩) して検討を行った。