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地質調査研究報告 Vol.58 No.9/10 (2007)

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表紙

領家帯の苦鉄質岩脈

領家帯の苦鉄質岩脈

   中部地方の領家変成帯中軸部の珪線石帯には "お化けダイク" と呼ばれた苦鉄質な岩脈がある。これは主に領家変成岩類中に写真のように不規則形状に産出するもので、かっては花崗岩化作用による basic front とも考えられたが、苦鉄質マグマと変成岩源マグマとの混交・混合作用で生じた岩脈と理解するほうが正しい。その存在は変成期から花崗岩貫入後の玄武岩質岩脈として長期間に亘って観察され、領家帯には苦鉄質マグマが断続的に上昇・貫入し、マントルからの大量の熱の供給があったことを示している。愛知県田口南西方の豊川沿い。

(石原舜三)

目次

タイトル著者 PDF
論文
わが国の降下火山灰データベース作成 須藤  茂・猪股隆行・佐々木  寿・向山  栄 (261-321) 58_09_01.pdf [3,199 KB]
付表1 (詳細版) 58_09_01_00.xls [288 KB]
付図1
  • File.1 : 1 諏訪瀬島 (1/5) 〜 38 姶良カルデラ (12/12)
58_09_01_01.pdf [8,757 KB]
  • File.2 : 39 桜島 (1/8) 〜 74 阿蘇カルデラ (8/8)
58_09_01_02.pdf [9,000 KB]
  • File.3 : 75 阿蘇山 (1/7) 〜 107 大山 (17/17)
58_09_01_03.pdf [8,892 KB]
  • File.4 : 108 伊豆東部火山群 (1/23) 〜 141 箱根山 (11/11)
58_09_01_04.pdf [8,322 KB]
  • File.5 : 142 富士山 (1/24) 〜 176 白山 (2/2)
58_09_01_05.pdf [9,675 KB]
  • File.6 : 177 乗鞍岳 (1/4) 〜 211 浅間山 (12/12)
58_09_01_06.pdf [8,722 KB]
  • File.7 : 212 榛名山 (1/4) 〜 245 那須岳 (8/8)
58_09_01_07.pdf [9,545 KB]
  • File.8 : 246 沼沢カルデラ (1/4) 〜 280 鬼首カルデラ (1/1)
58_09_01_08.pdf [8,818 KB]
  • File.9 : 281 鳥海山 (1/1) 〜 314 目潟 (1/1)
58_09_01_09.pdf [7,783 KB]
  • File.10 : 315 十和田カルデラ (1/38) 〜 352 十和田カルデラ (38/38)
58_09_01_10.pdf [9,897 KB]
  • File.11 : 353 八甲田山 (1/5) 〜 392 伊豆大島 (22/22)
58_09_01_11.pdf [6,759 KB]
  • File.12 : 393 三宅島 (1/23) 〜 436 銭亀 (1/1)
58_09_01_12.pdf [7,126 KB]
  • File.13 : 437 北海道駒ヶ岳 (1/22) 〜 474 倶多楽カルデラ (6/6)
58_09_01_13.pdf [8,426 KB]
  • File.14 : 475 支笏カルデラ (1/5) 〜 512 雌阿寒岳 (4/4)
58_09_01_14.pdf [7,743 KB]
  • File.15 : 513 屈斜路カルデラ (1/2) 〜 551 白頭山 (1/1)
58_09_01_15.pdf [8,518 KB]
Chemical compositions of the late Cretaceous Ryoke granitoids of the Chubu District, central Japan - Revisited Shunso Ishihara and Bruce W. Chappell (323-350) 58_09_02.pdf [2,338 KB]

要旨集

わが国の降下火山灰データベース作成

須藤  茂・猪股隆行・佐々木  寿・向山  栄

   降下火山灰は、少量であっても、産業活動の中心である大都市も含めた広範囲にわたり大きな災害をもたらす可能性があるが、これまで、その総括的評価はなされていなかった。本研究では、わが国の降下火山灰の分布に関する既存の公表資料を整理し、補間等を行うことによって、火山灰の等層厚線図を完成させ、火山灰名、噴出火山名、噴出時代、文献等を整理し、ディジタイズ化及びデータベース作成を行った。収録した火山灰のユニットは、551 であり、作成されたデータベースから、国土数値情報の第 3 次メッシュ、すなわち約 1 km メッシュごとの各火山灰の名前、噴出年代、層厚などの情報が引き出せるようにした。本研究で作成した降下火山灰のデータベースは、国土数値情報に基づいているために、各地方自治体のデータを取り出すことが容易である。今後のスムーズな情報の提供を、電子情報等を通じて行う予定である。

Chemical compositions of the late Cretaceous Ryoke granitoids of the Chubu District, central Japan - Revisited

Shunso Ishihara and Bruce W. Chappell

   中部地方の領家帯において後期白亜紀の斑れい岩類 (メタベイサイト) 6 試料、花崗岩類 75 試料の化学的性質の再検討を偏光蛍光 X 線分析法で実施した。花崗岩類の分析結果は I タイプと S タイプに 2 大別することができる。I タイプの地帯別平均値を中央構造線から北方へ比較すると、新城‐設楽帯 (平均 SiO2 含有量 60.1 %)、足助帯 (同 64.2 %)、豊田‐明智帯 (同70.0 %)、猿投山‐小原帯 (同73.0 %)、瀬戸帯 (同75.2 %) と、北方へ珪長質となる。その原因はマグマの結晶分化作用よりも発生源である地殻中下部の infracrustal な起源物質の相違を反映したものである。斑れい岩類は南部にやや卓越し、花崗岩類との混交現象も見られるが局在的で、恐らくマントルからの熱の運搬媒体として重要であったと思われる。
   岡崎‐武節帯の柘榴石含有白雲母黒雲母花崗岩 (武節花崗岩) はアルミナ飽和度 (A/CNK) 上は S タイプに属するが、アルカリ比については I タイプである固有の性格を持っている。この岩体は領家変成岩類の高変成帯に貫入することから、高熱流量下で supracrustal な大陸地殻まで溶融温度が達したために生じたものと考察された。領家変成帯南部にはルーフ岩石が残っているが鉱床は存在しない。その原因はその固結場所が 15 km に達するほど深かったため、及び武節花崗岩では珪長質ではあるがマグマ分化度が低かったために鉱化成分を含む熱水が発生・循環しなかったためと思われる。