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地質調査研究報告 Vol.53 No.1 (2002)

表紙 | 目次 | 要旨集

表紙

ヨハネスブルグ北方のノーイハダイト農園に於ける花崗岩地塊

   世界の先カンブリア地塊で最古の花崗岩類は一般に始生代の TTG Suite と呼ばれるトナル岩―トロニエム岩―花崗閃緑岩である。これは一般には不均質な岩相を持ち、コマチアイトなど超苦鉄質―苦鉄質火山岩類 ( "グリーンストーン" )、角閃岩などを捕獲することが多い。南アの首都にあるヨハネスブルグドームは窓状に露出している花崗岩地塊の一つで、ここの TTG Suite も不均質である。写真はヨハネスブルグ北方のノーイハダイト農園に於ける例で、角閃岩が破砕され、珪長物質による同化作用を受けたアグマタイトとして見られる。

(1998年7月撮影、石原舜三)

目次

タイトル著者PDF
論文
Granitoid-series Evaluation of the Archaean Johannesburg Dome Granitoids, South Africa Shunso ISHIHARA, Carl R. ANHAEUSSER and Laurence J. ROBB (1-10) 53_01_01.pdf [1,563 KB]
大分地域の重力異常について 広島俊男・森尻理恵・駒澤正夫・牧野雅彦・村田泰章・名和一成 (11-36) 53_01_02.pdf [4,622 KB]
日高変成岩類中の斜長石双晶型式 高橋裕平 (37-42) 53_01_03.pdf [608 KB]
熊野酸性火成岩類の古地磁気方位 星  博幸 (43-50) 53_01_04.pdf [981 KB]
Triassic and Jurassic radiolarians from the Tamba Terrane in the Nishizu district, Fukui, Southwest Japan Satoshi NAKAE (51-59) 53_01_05.pdf [3,362 KB]

要旨集

南アフリカの始生代ヨハネス・ブルグドーム花崗岩体の花崗岩系列からの評価

石原舜三・C.L.アンホイザー・L.L.ロブ

   ヨハネスブルグ・ドーム花崗岩体の酸化/還元状態を、文献による既発表資料の全岩 Fe2O3/FeO 比、およびウィトウオタースランド大学保管の新鮮な花崗岩標本と野外露頭における帯磁率の測定から評価した。この花崗岩類は 33.4-32.0 億年の年代を持つトロニエム岩-トナル岩-花崗閃緑岩 (TTG) および 31.1 億年の年代を持つカルクアルカリ岩 (アルカリライム指数=62.5) から構成される。全岩の Fe2O3/FeO 比は両者とも0.5よりも低いものが多く、チタン鉄鉱系が卓越する傾向を示し、帯磁率測定の評価によると、前者は測定数122個のうちチタン鉄鉱系78%、磁鉄鉱系22%、後者は測定数239個のうちチタン鉄鉱系83%、磁鉄鉱系17%の値を示した。磁鉄鉱系の値を示す花崗岩類においても、その帯磁率は日本の典型的な磁鉄鉱系花崗岩と比較して1/3 程度であり、中間系列に属するものである。以上からヨハネスブルグ・ドーム花崗岩類は本来的に還元型のマグマから構成されたと判断される。チタン鉄鉱系の産状から周辺部ではグリンストンの同化による還元も考えられる。少量の中間系は岩体中心部に分布する傾向があり、そのような局部的な磁鉄鉱の産出の原因については造岩苦鉄鉱物などについて、今後の詳細な研究が必要である。

大分地域の重力異常について

広島俊男・森尻理恵・駒澤正夫・牧野雅彦・村田泰章・名和一成

   九州北東部の大分県周辺地域において新たに測定した 445点の重力データと 11,748点の既存データを使用し、2.0g/cm³ 、2.3g/cm³ 及び 2.67g/cm³ の3種類の仮定密度の重力図を作成し、それぞれの図に現れている主な特徴について考察した。さらに、基盤岩が地表に現れていると思われる点を結ぶプロファイルについて基盤深度の解析を試みた。本地域においては中央構造発達以後の構造運動に伴い形成された弱線に沿って大規模な火山活動が長期間繰り返し行われ、第四紀〜第三紀の火山砕屑物に厚く覆われていて、別府湾の中央で最も厚く4,000m以上と推定された。

日高変成岩類中の斜長石双晶型式

高橋裕平

   日高変成帯の泥質岩起源変成岩中の斜長石双晶を調べ、変成作用との関係を検討した。その結果、ペリクリベ双晶の頻度が、Ⅱ 帯 (緑色片岩層から低度角閃岩相) とより変成度が高い Ⅲ-Ⅳ 帯 (高度各線岩相からグラニュライト相) で大きな差があり、前者で0-20%、後者で6-52% ある。加えて、トーナル岩起源のマイロナイトや剪断帯近くの変成岩ではペリクリン双晶の頻度が著しく大きい。これらは、Ⅲ 帯以上の高温下で機械的変成を受けるとペリクリン双晶が生じると解され、このことは既存の室内実験結果からも支持される。

熊野酸性火成岩類の古地磁気方位

星  博幸

   中新統熊野酸性火山岩類 (約14.3Ma) の試料を8地点から採取し、残留磁化を測定した。段階交流および熱消磁により、多くの試片から2つの残留磁化成分 (高温または高保磁力成分と低温または低保磁力成分) が分離された。高温または高保磁力成分の試片特徴磁化方位から、4つの地点平均特徴磁化方位が決定された。神ノ木流紋岩 (本火成岩類下部の流紋岩溶岩流) は正帯磁の東偏磁化を持ち、本火成岩類中部および下部の溶結凝灰岩および花崗斑岩は SW 向きで伏角が深い逆帯磁磁化を持つ。これらの方位特徴は基本的に過去の研究 (田上、1982) で報告された特徴と同じである。この時計回りの方向に偏向した方位は、これまで西南日本の時計まわり回転運動を表すものと考えられてきた。しかし、15 Ma には西南日本の回転は終了していたとする古地磁気学的な証拠が多くあるため、本研究はこの偏向を非テクトニックな原因、すなわち磁場逆転またはエクスカーションの間の普段とは異なる磁場逆転の中で獲得された磁化と解釈する。また、溶結凝灰岩と花崗斑岩の古地磁気方位と室生火砕流堆積物 (約14.3Ma) の方位にみられる類似は、これらのユニットが成因的に関連していることを示唆する。

福井県西津地域の丹波テレーンから産出した三畳紀・ジュラ紀放散虫

中江  訓

   福井県南西部の西津地域及びその周辺に分布する丹波テレーンのチャート、珪質泥岩、泥岩から三畳紀及びジュラ紀の放散虫化石を産出した。この地域の丹波テレーンは主に玄武岩・石灰岩・チャート・泥岩・砂岩から構成され、これらが複雑に混在した特徴を持っている。本地域における従来の化石層序学的研究によってペルム紀・三畳紀・ジュラ紀の放散虫化石の産出が報告されていたが、その詳細な地質年代は明らかにされていない。本研究で新たに得られた放散虫化石によって、チャートは後期三畳紀・前期ジュラ紀の前半・中期ジュラ紀の前半、珪質泥岩は後期三畳紀の中頃及びジュラ紀、泥岩は中期ジュラ紀の中頃ないし前期-中期ジュラ紀の年代を示すことが判明した。