平成10年度活断層調査 トップへ

月岡断層

粟田泰夫・小松原  琢 (1999)

位置図

   越後平野の東縁部に分布する月岡断層については、新潟県 (1998) の調査 により、約6,000年前 (未暦年補正の 14C 年代) に形成された扇状地面が撓曲変形し、約3mの上下変位 (厳密には鉛直隔離) を被っていることが分かりました。しかし、この上下変位が地表付近での断層の傾斜25°を反映したものなのか、地下深部での傾斜60°を反映したものなのか特定に至りませんでした。このため、実変位量の見積もりとこれに基づく活動セグメントの規模や地震危険度の評価が将来の課題として残されました。そこで、補備調査として、ボーリング調査と食い違い弾性論に基づくモデル計算を行いました。その結果、地表で認められる約3mの鉛直隔離は、地表付近での断層の傾斜25°を反映したものであることが分かり、地下深部における断層面に沿う実変位量は5〜6mと見積もられました。この値から、月岡断層の活動間隔は約1万年、セグメント長は40〜60km、今後100年間の地震発生確率は1%未満と推定されました。