2021年度第1回 地質調査研修終了報告

 2021年5月31日(月)〜6月4日(金)に、地質人材育成コンソーシアム(会長:田中裕一郎)主催で、2021年度第1回地質調査研修が実施されました。今回の研修では、地質図を作成した経験はないが、今後業務として、その技術・知識や作成に関わる工程を知っておきたいといった方々、特に企業の地質初心者を対象に募集しました。また、その狙いは、室内で岩石や地層の見方等を理解した上で、野外での観察ポイントからまとめまで、地質図を作成するための一連の基本的事項を5日間の研修で習得していただくことでした。
 まず前半の1日半は、茨城県つくば市の産業技術総合研究所第7事業所(地質調査総合センター)で行う座学研修に当て、後半の3日半は、茨城県ひたちなか市および福島県双葉郡広野町といわき市周辺地域で野外実習を行いました。このうち、室内座学の主講師は柳沢幸夫が務め、これを利光誠一と後藤宏樹が補助しました。また、野外実習は利光が主講師を、後藤が補助を務めました。参加者は企業や団体、大学などの地質技術者や関連業務従事者など6名でした。
 室内座学研修では、基礎的な地質調査の知識をスライドと資料で学び、合間に砂の粒度表の作成や岩石標本の観察など、野外実習で必要となる幅広い基礎知識を習得していただきました。
 一方、野外実習では、室内での演習で経験した露頭記載や柱状図の作成を、実際の地層を観察しながら実践しました。次いで各自で沢沿いや道路沿いを調査して得られた観察データから複数の地層に区分し、それらの境界についてどのように広がっていくかを予測しました。そして、最終的に地層境界の位置を予測したルート上で確認し、調査のまとめとして地質図を作成しました。こうした実践を通して、地質図作成の一連の技術を習得していただきました。

[研修概要]

5月31日:
産総研内の講義室での実習:「地質調査とは」、「粒度表の作成」、「露頭観察とは」、「岩石標本観察」など。
6月1日午前:
産総研内の講義室での実習と地質標本館の見学:「ルート調査とは」、「ルートマップ予習」、「対比・地質図」、「地質図学」、「地質図の読み方」など。
6月1日午後:
野外での地質調査の研修:ひたちなか市那珂湊海岸で、地層の観察と柱状図作成、走向傾斜の測定、地層の上下判定など。
6月2日:
野外での地質調査の研修:広野町土ヶ目木(どっかめき)地域の沢を歩いて、露出する地層の調査。地図に調査データを記入してルートマップの作成。夜間の調査データのまとめにより地層区分と境界位置の確認、各境界の広がりを予測。
6月3日:
野外での地質調査の研修:広野町鍋塚地域の沢や道路沿いおよび長畑地域の道路沿いを歩いて、露出する地層の調査。地図に調査データを記入してルートマップの作成。新第三紀の椚平層凝灰岩の観察。夜間の調査データまとめで、前日の調査データと合わせて3つのルートにおける地層境界線のつながりを地質図学的に描いて地質図作成。
6月4日:
野外での地質調査の研修:広野町で双葉断層の観察、双葉層群と基盤の花崗岩類との不整合の観察。いわき市アンモナイトセンターで発掘露頭の観察と館内見学、その後で野外実習で観察した地層をもとに地史の復習と全体のまとめなど。

 今回は“地質図作成初心者”の募集のため、受講生にとっては不慣れな調査体験でしたが、地質調査で必要な露頭位置の確認や堆積岩の岩相識別についても実習しました。最終日は雨中での露頭観察となってしまいましたが、研修終了時に参加者からいただいた感想では、概ね好評でした。全体を通して、地質調査や地質図の作成がどのようにして行われているかを野外調査の現場で理解していただけたと思います。
 本研修の実施にあたり、広野町教育委員会、公益財団法人いわき市教育文化事業団いわき市アンモナイトセンターに大変お世話になりました。地質標本館および地質調査総合センターのスタッフからの教材提供などの協力も得ました。この場をお借りして御礼申し上げます。

2021年度第1回 地質調査研修
2021年度第1回 地質調査研修
2021年度第1回 地質調査研修
2021年度第1回 地質調査研修
日程 2021年5月31日(月)-6月4日(金)
研修場所 室内座学:茨城県つくば市(産総研)
野外研修:茨城県ひたちなか市、福島県いわき市周辺
研修内容 最近はルートマップを書いたことがあっても地質図を書いた経験のない方、岩石の見方に不安がある方など、地質調査の基本である踏査に関し、大学で充分な経験が積めなかった方もいらっしゃいます。この研修では、まず室内で岩石の見方等を理解した上で、野外での地層・岩石の観察ポイントからまとめまで、地質図を作成するための基本的事項を5日間の研修で習得します。少人数でマンツーマンに近い形での研修となります。
※今回は特に企業の地質初心者が対象となります。
※経験者(卒論等で地質図を描いたことがある方)向けは秋を予定しています。
定員 定員 6名(最小催行人数:4名)※募集終了
講師 利光誠一博士
地質調査総合センターにおいて、多くの地質図幅の作成を行い、白亜紀大型化石、層序の研究を行うと共に、地質標本館館長として、地質学の普及に努めてきました。
他2名(うち1名は室内研修講師)
集合 産総研 5/31 10時(予定)
解散 産総研 6/4 17時(予定)
CPD 40単位 (40単位になるよう、時間を調整して指導を行います)
参加費 産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」に60口(1口1000円)の会費が必要です。
注意事項 お勤めの方は労災保険の対象となるよう職務として参加してください。
現地までの交通費と宿泊代(4泊)・食事代は参加者負担となります。日程のうち、前半は産総研内の宿泊施設、後半の野外研修では、いわき市周辺の宿泊施設を予定しています。(詳細は参加者の方に個別にご連絡いたします。)
参加には別途傷害保険をおすすめします。
学生・院生の方で参加されたい場合は、別途お問い合わせください。
新型コロナウイルス感染防止の対策は行いますが、情勢を踏まえ、中止とさせていただく場合もございます。
申し込み・
問い合わせ
training-gsj-ml(a)aist.go.jp ※(a) 部分を @ に置き換えて下さい。
主催

産総研コンソーシアム「地質人材育成コンソーシアム」 運営会則(pdf:76KB)

協力

いわき市アンモナイトセンター