平成30年度(2018年度)地震・津波・火山に関する自治体職員研修プログラム開催報告

吾妻 崇・宍倉正展・川邉禎久・藤原 治

 平成30年度(2018年度)の自治体職員研修プログラムは、7月9日(月)から12日(木)にかけて実施され、青森、千葉、静岡、愛知、三重、和歌山、宮崎の7県から合計9名の参加がありました。青森県からは今回が初参加でした。また、上記のほかに、和歌山県(南紀熊野)と群馬県(浅間山)からそれぞれ1名ずつのジオパーク関係者が参加しました。今年度の研修プログラムは表1に示した通りです。
 前年度のアンケートで「自分の担当分野(火山)だけの研修内容でないと参加できない」といった意見があったため、今年度は「火山分野だけ」(研修前半)、「地震分野だけ」(研修後半)および「すべて」(全日程)の3種類の参加形態の中から事前に選択できるようにし、共通分野となる地質一般の講義(「地質標本館見学」および「地質図の利活用」)を中間において、どれを選択しても受講できるようにプログラムを編成しました。
 初日には、日本列島の地質に関する概要と火山に関係する講義が行われました。火山に関する講義の「その1」では概説的な内容を、「その2」では個別の火山を取り上げた内容を、それぞれ取り上げました。
 2日目には午前中に地質情報に関する講義と地質標本館の見学(写真1)、午後に地震・地震動と活断層に関する講義が行われました。今年度は地質標本館の見学の評判が良く、アンケートでも「もっと時間をかけて見学したかった」というコメントを多数頂きました。
 3日目は午前中に自治体による地震・津波・火山防災の取り組みについて研修生から紹介して頂き(写真2)、午後には海溝型地震と地震地下水に関する講義が行われました。自治体による防災への取り組み状況の紹介については、「研修期間中の早い時期に行なって欲しい」との意見があり、来年度のプログラム編成の際に参考にしたいと思います。
 最終日の巡検には、研修生4名と産総研職員2名が参加し、南房総における大地震の痕跡を探る巡検を実施しました(写真3)。天候が若干危ぶまれましたが、気温がそれほど高くならなかったため熱中症の心配などはなく、かえって巡検に適した日だったように思います。

平成30年度(2018年度)地震・津波・火山に関する自治体職員研修のプログラム内容

日程 講義内容
7月9日(月) ・ガイダンス
・日本列島の地質と構造
・日本の火山と火山活動(その1,その2)
7月10日(火) ・地質標本館見学
・地質図の利活用
・地震災害と地震防災想定
・ゆれにまつわるあれこれ
・活断層と古地震調査
・活断層DBの紹介とその使い方
7月11日(水) ・自治体による地震・火山防災の取り組みの紹介
・海岸の地形と地質の発達史
・歴史資料を読み解いてわかる過去の地震と津波
・南海トラフ巨大地震の予測と地震に関連する地下水観測データベースの使い方
7月12日(木) ・巡検「南房総における大地震の痕跡を探る」


平成30年度(2018年度)の自治体職員研修プログラムの様子

2018年度自治体職員研修プログラム
2018年度自治体職員研修プログラム
2018年度自治体職員研修プログラム