日本の火山とマグマ

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日本の火山とマグマ

火山

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   日本列島には数多くの火山があります。これらは時々噴火を起こし、災害をもたらします。一方で、温泉や地熱などを資源をもたらしますし、美しい風景や登山コースとして観光地にもなります。
   噴火を起こす可能性のある火山を「活火山」と呼び、約1万年以内に噴火したことのある火山と、活発な噴気活動がみられる火山を指しています。現在、日本には110の活火山があります。

   現在活動中の火山は限られており、その分布は偏っています。しかし、地質時代を通じてみると、日本には非常に多くの場所で火山活動がありました。その中には既に侵食されて山体がなくなってしまったものも含まれます。その場合、山体の地下にあったマグマだまりが地表に現れています。花こう岩、閃緑岩などの深成岩がそれで、多くの場合、かつてはその上に火山があったはずです。

マグマ

   火山は地下のマグマが地表に噴出することによって形成されます。マグマはマントルの一部が溶けて発生すると考えられています。しかし、マグマは地下深くであればどこにでも存在するわけではなく、むしろマグマの存在することの方が例外です。それは、通常のマントルは固体として安定であり、何らかの理由がない限り溶けないからです。

   日本列島の場合、マグマの発生には沈み込む海洋プレートが大きな役割を果たしていると考えられています。そのひとつは、海洋プレートが沈み込むことにより発生する高温状態で、またひとつは、プレートによってマントルにもたらされる水です。

   海洋プレートは地表 (海底) にさらされていたため、冷えています。冷たいプレートが沈み込むのに高温状態になるのは意外に思えますが、次のように説明されています。沈み込む海洋プレート (スラブ) は、その周りのマントルの一部も引きずり込みます。それを補うために、反対側からより高温で流動性のあるマントル (アセノスフェア) が上昇し、全体として対流を発生します。こうして、冷たいプレートが沈み込んだために熱いアセノスフェアが上昇するという現象が起きるのです。なお、地球内部の構造や物性については、地球の構造 のページをご覧ください。

   水はマントルの岩石が溶ける温度を低くする効果があります。海洋プレートには液体の水や鉱物の構造の中に含まれる水 (結晶水) が存在し、沈み込みによってマントルにもたらされます。そして、地下の高温・高圧で液体の水がしぼり出されたり、鉱物が分解したりして、海洋プレートの水は放出されます。水は岩石よりも軽いため、海洋プレートの上位のマントル (マントルウェッジ) に移動します。こうして海洋プレートが沈み込んでいる日本の地下のマントルは、溶けやすくなります。

 * 日本の火山について更に知りたい方は、日本の火山データベース をご覧ください。