広域応力場

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断層と褶曲

広域応力場

   断層や褶曲を説明するときに、しばしば広域応力場という用語が出てきます。これは、地層にどのような力が加わっているかを示すもので、水平方向を基準にして押されていれば圧縮応力場、引っ張られていれば引張応力場といいます。

   応力場の変化は、プレートの運動に関係しています。特に日本のような沈み込み帯では、海洋プレートの沈み込みの方向と角度が応力場を変化させると考えられています。

   海洋プレートの沈み込み角度が緩いときは、大陸プレートを押す力が大きくなり、大陸プレート上には圧縮応力場ができます。

図:圧縮応力場

   海洋プレートの沈み込み角度が急なときは、大陸プレートを押す力は小さくなり、大陸プレート上には引張応力場ができます。

図:引張応力場

   このように、海洋プレートの沈み込みの角度に違いが生じるのは、海洋プレートの年齢と関係しているといわれています。海嶺から近い、形成されたばかりの海洋プレートはまだ熱く、浮力を持っているため、沈み込みの角度は緩くなると考えられます。一方、海嶺から遠く、十分に冷却の進んだ海洋プレートは、相対的に重く、沈み込み角度も大きくなると考えられています。

   このほか、海洋プレートが大陸プレートに対して著しく斜め方向に沈み込んでいる場合には、大陸プレートの縁辺部は海洋プレートに引きずられて、横ずれの応力場ができます。

図:横ずれ圧縮応力場