三次元造型とプロジェクションマッピングによって、地質情報を立体化する技術が公開特許となりました

 

概要

  本技術は三次元造型機で造型した模型に、地質図をはじめとするデジタル画像もしくは映像を高精度で画像投影(プロジェクションマッピング)するための技術です。地質標本館では、地質図などの地質情報をよりわかりやすく展示するためのアウトリーチ活動を進めており、本技術はそのための手段として開発したもので、下記の内容を含んでいます。

  • 三次元造型機を用いた、高精度な地質模型の造型法
  • プロジェクションマッピング時の高精度な位置合わせ手法

  本開発成果は、以下の要領で公開されています。

  • 公開番号:特開2014-032304
  • 公開日:平成26年2月20日
  • 発明者:芝原暁彦
  • 発明の名称:情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

 

開発の内容

  模型を造型する際のデータソースとして、数値標高データや、ボーリングデータベース、反射法地震探査データなどを用います。これらのデータを三次元造型機(3Dプロッタもしくは3Dプリンタ)により、立体模型に加工します(図1)。

  次に造型した模型の表面に、地質図などをプロジェクションマッピングします。この際、従来法ではプロジェクターのレンズ収差や光軸の傾きによって僅かなずれが発生し、投影精度を著しく低下させます。この問題を解決するため、立体模型上に造型した微細な等高線(図1)に、模型と同じデータソースから作成した等高線の画像をプロジェクションマッピングしてマッチングを行い、画像の傾きや歪みの検出と補正を行います(図2)。こうした補正を行って最終的な投影精度を向上させることで、ユーザーが地質情報を直感的に理解することが出来るような模型の造形が可能となります(図3, 4)。

  この立体模型は比較的低コストで製造可能であり、またケミカルウッドと呼ばれる強度のある素材で造型されていることから、ユーザーが模型の損壊を気にすることなく触察する事が可能となります。こうした触察による地形・地質の解説により、視覚障害を持つ方々にも効果的なアウトリーチが可能となります。また地形、地質分野以外でも応用が可能です。なお図1~4に示した富士山の地質模型は、地質標本館2階の第3展示室にて展示しております。また富士火山地質図の最新版は地質調査総合センター研究資料集,no.592(高田ほか,2014)として公開中です。

 

参考図
図1.3Dプロッタで出力した模型の一例
図1.3Dプロッタで出力した模型の一例(富士山、模型寸法約30×30 cm、縮尺約1/14,4000、垂直方向を1.1倍に誇張)。使用データは国土地理院基盤地図情報5mメッシュ(承認番号平25情使、第419号)。左:全体図、右:山頂周辺の拡大図。芝原ほか (2014)より。

 

図2.図1の地形模型の表面に、等高線の画像データ(ポリラインデータ)をプロジェクションマッピングして、位置合わせと画像の歪み補正を行っている様子。
図2.図1の地形模型の表面に、等高線の画像データ(ポリラインデータ)をプロジェクションマッピングして、位置合わせと画像の歪み補正を行っている様子。

 

図3.図2の位置合わせ作業を行ったのち、国土地理院数値地図50000(左)と富士火山地質図(右)をプロジェクションマッピングした様子。
図3.図2の位置合わせ作業を行ったのち、国土地理院数値地図50000(左)と富士火山地質図(右)をプロジェクションマッピングした様子。

 

図4.ASTER衛星画像を投影した様子。
図4.ASTER衛星画像を投影した様子。

 

文献

芝原暁彦・及川輝樹・石塚吉浩・中野   俊・山元孝広・高田   亮・浦井   稔(2014) 国際火山学地球内部化学協会2013年学術総会にて展示した富士火山地質図の精密立体模型.GSJ 地質ニュース,3,no. 2,34–36.
高田   亮・山元孝広・石塚吉浩・中野   俊(2014)富士火山地質図第2 版(Ver.1).地質調査総合センター研究資料集,no.592,産総研地質調査総合センター, https://www.gsj.jp/researches/openfile/openfile2013/openfile0592.html

 

謝辞

本特許の申請にあたっては、産業技術総合研究所イノベーション推進本部の横地俊弘 氏、斉藤一宏 氏、板倉俊行 氏、そして知的財産部の田中泰彦 氏に懇切丁寧なご指導とご支援を頂きました。深謝申し上げます。