地質調査所月報 Vol.50 No.9 (1999)

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表紙

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  地表へ到達した降雨の大部分は、いったん土壌・風化帯に浸透したのち、再び湧出して表流水系に合流し、あるいは地下水としてより深部や遠方へと移動する。写真は茨城県西茨城郡岩瀬町富谷の露頭で、北関東の典型的な土壌・風化帯の断面を見ることができる。地表より0.3mが黒色の腐植土、その下0.6mが茶褐色の風成ローム質土、その下0.7mが黄茶色の赤城鹿沼降下軽石層 (Ag-KP)、その下0.9mが再び茶褐色の風成ローム質土、さらにその下が八溝層群の砂岩を原岩とする風化岩である。降雨後河川の流量や水質の流出特性などから、渇水期の河川水は主としてローム質土の下部から、降雨後の増水時の河川水は表層土壌~ローム質土の上部から、それぞれ供給されていると考えられている。また、地下水に含まれるアルカリ・アルカリ土類や重炭酸などの溶存成分の多くは、この土壌・風化帯を浸透する過程で取り込まれていく。

(写真撮影 : 関 陽児)

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タイトル著者PDF
四万十累層群の砕屑性堆積物 寺岡易司・奥村公男・鈴木盛久・川上久美 (559-590) 50-09_01.pdf (4,176KB)
茨城県中部域の源流部における浅層地下水・地表水の水質変動 金井 豊・上岡晃・金沢康夫・関 陽児・濱崎聡志・月村勝宏・中嶋輝允 (591-610) 50-09_02.pdf (2,952KB)
研究紹介
スモールスケールマイニングに関する予備的研究 村尾 智 (611-612) 50-09_03.pdf (255KB)