活断層・古地震研究報告  第4号 トップへ

北海道東部、根室市別当賀低地において記載された4層の津波砂層と広域イベント対比

七山  太・重野聖之・三浦健一郎・古川竜太

根室市別当賀湿原おいて津波痕跡調査を実施した結果、泥炭層中に4層以上の海成イベント堆積物 (Bs1〜Bs4) の存在が確認された。イベント堆積物のうち上位のBs1は、1973年の根室沖地震津波によって、Bs2は1843年十勝沖地震津波もしくは1894年根室沖地震津波によって生じた痕跡の可能性が示唆される。下位のBs3およびBs4は、道東の有史以前に発生した津波痕跡であり、それぞれTs3 (17世紀) およびTs4 (13世紀) に対比可能である。Bs3とBs4の汀線距離と分布高度を求めると、2800 m以上の津波遡上規模と13mを上回る遡上高が推定される。


第1図

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根室市別当賀地域における調査地点 (Be-1〜6) および調査測線図、1952年、1960年および1973年津波の推定浸水域。および海成イベント堆積物 (Bs1〜Bs4) の分布範囲。国土地理院発刊の1:25000地形図「別当賀」を基図として使用。


第2図



pp法 (重野ほか、1999) を用いたBs-1試料の産状 (左)、およびlunch-box法 (七山・重野、1998) を用いたBs2の堆積構造の解析 (右)。


第3図

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Be測線の現地形ならびに現汀線からの距離と4層のイベント堆積物の層厚との対応 (上)、および堆積柱状対比図 (下)。