活断層・古地震研究報告  第2号 トップへ

イベント堆積物を用いた千島海溝沿岸域における先史〜歴史津波の遡上規模の評価
  -十勝海岸地域の調査結果と根釧海岸地域との広域比較-

七山 太・重野聖之・三浦健一郎・牧野彰人・古川竜太・佐竹健治・斎藤健一・中川  充

前年度に引き続き、十勝海岸地域において古津波痕跡調査を行った (第1図)。その結果、十勝海岸地域において確認された9層のイベントは、根釧海岸地域における既存のイベント層序と整合的であることが判明した。この事実は、十勝海岸地域と根釧海岸地域とが過去3,500年間、巨大津波の来襲を同時期に繰り返し受けていたことを示唆している。さらに、これらイベント堆積物の分布範囲 (第2図) から、津波の規模をある程度評価できることが新たに判明した。


第1図

第1図. 千島海溝のテクトニクス、海溝型地震の余震域と調査地域位置図。
Fig. 1. Tectonic map around Hokkaido showing earthquake sources of the Kuril subduction zone and index map of the study area.



   調査地域位置図


第2図

第2図. 豊頃町〜浦幌町、十勝太地域の調査測線 (Tkb測線) と今回の調査で明らかとなったTs3, Ts4各イベント堆積物の分布範囲。国土地理院発刊の1:2,5000地形図「十勝大津」を基図として使用。
Fig. 2. Survey line Tkb and coring sites and distribution limits of Ts3 and Ts4 in Tokachibuto area, between Toyokoro and Urahoro Towns.

調査測線図