活断層・古地震研究報告  第2号 トップへ

トレンチ調査結果の再検討に基づく
  四国中央構造線活断層系の活動履歴

森野道夫・岡田篤正

四国の中央構造線活断層系で行われたトレンチ調査結果 (第1図) について、イベント層準と地層の14C年代を再検討した。その結果、四国東部〜中央部の鳴門南〜石鎚・畑野断層と四国西部の川上〜伊予断層は、ほぼ同じ時期に活動しており、最新活動時期は16世紀以降、1つ前の活動時期は紀元前後と考えられる (第2図第3図第4図)。四国中央部の岡村断層は、後藤ほか (2001) と愛媛県 (2000) で見解が異なっている。著者らは最新活動時期を16世紀以降とする後藤ほか (2001) の見解を支持する (第4図)。四国の中央構造線活断層系は16世紀以降に全区間が活動したものと推測される。和歌山平野側の最新活動時期は紀元前14世紀頃であり、四国側と和歌山平野側は別個のセグメントを形成している。


第1図

第1図. 四国MTL活断層系とトレンチ調査地点位置図。断層の位置は後藤ほか (1998, 1999a)、中田ほか (1998, 1999)、岡田ほか (1998c, 1999a, 1999b)、堤ほか (1998a, 1998b) による。

Fig. 1. Distribution of the MTL active fault system and locations of trench sites in Shikoku. Distribution of the MTL active fault system is after Goto et al. (1998, 1999a), Nakata et al. (1998, 1999), Okada et al. (1998c, 1999a, 1999b), and Tsutsumi et al. (1998a, 1998b).

NA : 鳴門断層、NM : 鳴門南断層、IT : 板野断層、ZU : 神田断層、CH : 父尾断層、MI : 三野断層、IK : 池田断層、SA : 寒川断層、HA : 畑野断層、IS : 石鎚断層、OK : 岡村断層、KA : 川上断層、SI : 重信断層、IY : 伊予断層、KO : 米湊断層、HO : 本郡断層。1 : 段関・大代トレンチ、2, 3 : 川端Bおよび川端B予察トレンチ、4 : 川端Aトレンチ、5 : 熊谷寺東南トレンチ、6 : 上喜来トレンチ、7 : 池ノ浦トレンチ、8 : 上野トレンチ、9 : 平山トレンチ、10, 11 : 中之庄および上石床トレンチ、12 : 上野田トレンチ、13 : 市木トレンチ、14〜17 : 東予変電所C、F、GおよびSK-2トレンチ、18 : 本郷トレンチ、19〜21 : 岸ノ下、岸ノ下東および岸ノ下西トレンチ、22 : 飯岡Ⅴトレンチ、23〜25 : 飯岡 Ⅰ、Ⅱ および Ⅲ トレンチ、26, 27 : 氷見1および氷見2トレンチ、28 : 高井東トレンチ、29 : 高井トレンチ、30 : 高井西トレンチ、31 : 市場Bトレンチ、32 : 本郡トレンチ。

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トレンチ調査地点位置図


第2図

第2図. MTL活断層系の活動履歴 (1) (和歌山平野伏在断層〜三野断層)。

Fig. 2. Diagram showing the ages of faulting events on the Wakayama-heiya concealed fault - Mino fault.

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MTL活断層系の活動履歴(1)


第3図

第3図. MTL活断層系の活動履歴 (2) (池田〜石鎚・畑野断層)。

Fig. 3. Diagram showing the ages of faulting events on the Ikeda fault - Ishizuchi and Hatano faults.

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MTL活断層系の活動履歴(2)


第4図

第4図. MTL活断層系の活動履歴 (3) (川上断層〜上灘沖北断層)。

Fig. 4. Diagram showing the ages of faulting events on the Kawakami fault - Kaminada-oki fault.

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MTL活断層系の活動履歴 (3)