活断層・古地震研究報告  第1号 トップへ

温見断層 (福井県・岐阜県)

   1891年濃尾地震の際に約3mの左横ずれ変位が生じた大野市温見地区 (第1図第2図) において、トレンチ調査を実施した (第3図第4図)。その結果、濃尾地震に先立つ3つの活動層準B〜Dが識別された (第5図)。これらの活動層準の年代は、14C年代データから、BC1890年〜AD530年、BC4045年〜BC2030年、BC5200年〜BC4830年と推定された。これらの活動層準にそれぞれ1回の断層活動が生じたとすると、温見断層の平均的な活動間隔は2300年〜2400年となる。濃尾地震の際に同時に活動した根尾谷断層では、確実度の低いものも含めて6つの活動層準が認定されている (粟田ほか、1999)。両断層の活動層準の時期を比較すると、根尾谷断層では、温見断層の活動層準Dに対応する断層活動はなかった可能性が高く、両断層は必ずしも同時に活動するとは限らないことが示唆される。

文献


第1図

温見断層とその周辺の活断層


第2図

温見断層周辺の地形図


第3図

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トレンチ北西壁面の写真


第4図

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トレンチ北西側壁面のスケッチ


第5図

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温見断層のイベント時期と根尾谷断層との比較