平成11年度活断層調査 トップへ

木津川断層系 (三重県・京都府)

   安政伊賀上野地震時の木津川断層系伊賀断層の変位量解明を目的として、上野市東高倉において埋没谷の群列ボーリングを行った。確定的な横ずれ量と実変位量を得ることはできなかったが、実変位量については2.9 m以上であることが判明した。この実変位量から、安政伊賀上野地震時には長さ約15 km以上の断層が活動したと推定され、断層系西部の島ヶ原断層の一部も伊賀断層と同時に活動した可能性が示唆される。一方、京都府南山城村奥田における島ヶ原断層のトレンチ調査では、壁面試料の14C年代測定データによると、奥田での島ヶ原断層の最新活動は14世紀〜17世紀中頃に生じたと考えられる。このように、安政伊賀上野地震時の島ヶ原断層の振る舞いについては、トレンチ調査結果と伊賀断層の変位量データ及び史料地震学的な研究に基づく結論とが十分に整合していない。今後、地質学と史料地震学の両面から、さらに検討を加える必要がある。

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