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鹿児島県南大隅町で起こった斜面崩壊 (土石流) の地質学的背景

平成22年7月9日開設

研究情報

産総研地質調査総合センターでは、今回の土石流災害が発生した地域を含む20万分の1地質図幅「開聞岳及び黒島の一部」を発行しています(川辺ほか, 2004)。

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川辺ほか(2004) 万分の1地質図幅「開聞岳及び黒島の一部」の崩壊地点付近 (矢印)
geomap_kagoshima02 四角の枠内を拡大したもの、ただし花崗岩、日向層群の分布を出版以降のデータで修正してあります (2010年7月9日加筆)
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凡例

鹿児島県南大隅町根占山本では、斜面崩壊に起因する土石流が、2010年7月4日から8日正午までに断続的に7回発生しています。

この崩壊地周辺の台地の上部は、約11万年前に北西側の鹿児島湾内から噴出した阿多 (あた) 火砕流堆積物でできています。下部は約1,400万年前に貫入した花崗岩 (*1) でできており、この花崗岩は、周囲の約4,200万年前の付加体 (*2) の岩石に接触変成作用を及ぼしています。

阿多火砕流堆積物は、下部の非溶結の軽石・火山灰と上部の溶結凝灰岩 (*3) に大きく分けられます。強く溶結した部分には柱状節理が発達し、急崖をつくっています。

柱状節理の発達した溶結凝灰岩は水を通しやすく、それより下部の非溶結凝灰岩及び弱溶結で柱状節理の乏しい溶結凝灰岩は水を通しにくくなっています。両者の境界部を水が流れ、上盤側の柱状節理の発達する溶結凝灰岩が崩壊したと推定されます。

地質情報研究部門斎藤眞

地圏資源環境研究部門阪口圭一

*1 花崗岩は当時のマグマだまりが冷え固まったもの。
*2 海洋プレート上の堆積物が海溝付近で大陸の縁にくっついてできた複雑な地層。
*3 火山噴火で堆積した火山灰と軽石が、自身の熱と荷重によって固結した岩石。