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新潟県上越市板倉区国川で発生した地すべり地の地質

平成24年4月5日開設

研究情報

   本件で述べる地すべり発生地域周辺は新第三紀に堆積した泥岩の分布域であり、従来から地すべりの多発地域として知られている。この地域の地すべりの多くは、雪解け水によって地下水が涵養される雪解けの時期に発生する。

   今回の地すべりの位置を20万分の1日本シームレス地質図に示した (図1)。周辺地域は主に完新世の地層で覆われる高田平野と新第三紀〜第四紀初めの地層からなる東南東側の丘陵地からなる。平野と丘陵地の境には断層面が東南東に傾く逆断層である高田平野東縁断層が存在し、東南東側の丘陵地が上昇していることが知られている。今回の地すべりは、丘陵地の西北西端で発生した。

図1 今回の地すべりの位置
図1  今回の地すべりの位置 (マーカーの位置) を 20万分の1日本シームレス地質図
(赤線で活断層を表示) に示した。地名、断層名を加筆。

   図2に、地すべりが発生した板倉区国川 (こくがわ) 付近の地質図を示した (竹内・加藤、1994)。今回地すべりが起きた斜面のうち標高130-140m付近から下の地質は後期中新世 (700万〜600万年前頃) の須川 (すがわ) 層下部の塊状泥岩 (Sm) からなる。須川層の分布域では従来から猿供養寺 (さるくようじ) 地すべりなど多くの地すべりが生じている。一方、斜面上半部の標高140m付近から標高270mの尾根までは、前期更新世 (150万〜100万年前頃) と考えられる猿橋 (さるはし) 層の固結度の低い礫岩 (Sc) が分布する。猿橋層は、須川層と時代差があることから、須川層を不整合に覆うと考えられる。その不整合面の傾斜は周囲の状況から東南東に20゜ないしそれ以下と推定される。猿橋層の礫岩は須川層に比べ風化浸食に強いため急斜面を形成する。

   今回の地すべり地点の中下部は須川層の塊状泥岩で、上部は猿橋層の礫岩である。今回の地すべりは須川層の塊状泥岩で起きており、この地域でよく見られる地すべりと類似していると考えられる。

図2 今回の地すべりの位置(新潟県発表)を描き加えた5万分の1地質図幅「高田東部」(竹内・加藤1994)の一部
図2  今回の地すべりの位置 (新潟県発表) を描き加えた
5万分の1地質図幅「高田東部」 (竹内・加藤1994) の一部

文献

竹内圭史・加藤碵一 (1994) 高田東部地域の地質. 地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅), 地質調査所, 67p.


地質情報研究部門    竹内圭史・斎藤  眞