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2010年7月15日に発生した岐阜県南部の集中豪雨災害地域の地質情報

平成22年7月23日開設

研究情報

2010年7月15日夕方の岐阜県南部の豪雨では、八百津町野上で斜面崩壊が発生し、また、可児市土田では可児川が右岸 (北) 側に氾濫して大きな被害が出ました。この地域の地質情報を以下に示します。

地質図 (図1) の右上に位置する八百津町野上では、美濃帯のジュラ紀付加体の砂岩、砂岩泥岩互層 (Ms) を瑞浪層群 (この地域の年代は前期中新世) の砂岩、泥岩 (M2) が一部覆っており。急峻な小沢には、ジュラ紀付加体の崖錘がたまっています。

同じく図1の左下に位置する可児市土田の可児川では鬼が島と呼ばれる地点で流路が2つに別れ、名鉄の鉄橋の手前で合流します (図2)。地質図を見ると可児川本流は東から低位段丘堆積物の中を流れてきますが、しばしば河床は瑞浪層群 (M2) が露出しています。この鬼が島より下流は、蜂屋累層 (M1) の安山岩角礫を含む角礫岩が露出します (写真1)。この角礫岩は浸食に強く、その下流ではチャートと呼ばれる硬い 美濃帯のジュラ紀付加体の岩石からなっており、また、下流で可児川と合流する木曽川までの標高差があるために、ここから河川勾配が急になり、狭く切れ込んだ谷になっています。7月15日の氾濫は、この鬼が島の上流側で発生しました。

地質情報研究部門  斎藤 眞

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<図1 地質図と凡例>
山田直利・脇田浩二・広島俊男・駒澤正夫 (1990) 20万分の1地質図幅「飯田 (第2版) 」

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<図2 可児川の氾濫の位置図><写真1>
可児市土田の可児川の氾濫した付近の写真 (斎藤、1992年撮影)。奥に名鉄の鉄橋、右が鬼が島。鬼が島より右岸 (写真の右方) に氾濫。撮影地は位置図参照。