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2023年6月30日に発生した大分県由布市湯布院町川西周辺の土砂災害地域の地質概説

2023年7月7日:開設

地質情報研究部門:阪口圭一 / 活断層・火山研究部門:星住英夫

 2023年6月30日から九州地方に降った大雨により、大分県由布市湯布院町川西で土砂災害が発生しました。
 土砂災害が発生した地域の地質は5万分の1地質図幅「別府」にまとめられています(図1)。
 災害発生地周辺の地質は、主に鮮新世の水分安山岩、約180万年〜140万年前頃に噴出した更新世カラブリアン期の川西安山岩(Bk)や、それを覆う更新世チバニアン期の火砕流堆積物等から構成されています(図1)。災害地付近川西安山岩は火砕岩と溶岩からなりますが、土砂災害が発生した畑倉周辺では溶岩が卓越します。
 災害発生地域周辺では南北約8 kmにわたる地域には地熱・温泉活動による熱水変質帯が広く分布しています(図2)。また、川西安山岩の有色鉱物の一部は、変質を受けて粘土化していることが多いです(星住ほか, 1988)。

図1 5万分の1地質図幅「別府」(部分)に加筆

図1 5万分の1地質図幅「別府」(部分)に加筆


図2 周辺の熱水変質帯の分布(5万分の1地質図幅「別府」(部分)に加筆.白枠は図1の範囲)

図2 周辺の熱水変質帯の分布(5万分の1地質図幅「別府」(部分)に加筆.白枠は図1の範囲)