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2021年3月4日に新潟県糸魚川市来海沢で発生した地すべり地の地質

2021年3月8日:更新
2021年3月5日:開設

地質情報研究部門:長森英明

 2021年3月4日に新潟県糸魚川市来海沢で地すべりが発生しました。
 新潟県糸魚川市は、新潟県の西部に位置しており、地すべりや土石流が多発することで知られています。3月4日に地すべりが発生した糸魚川市来海沢(くるみさわ)付近には、根知層と海川層が分布しています(図参照)、根知層は中新世末から鮮新世の海に堆積した、主に泥岩(Nm)からなる風化しやすい地層で、地すべりを発生させやすい特性を持っています。海川層は鮮新世の海底火山の噴出物から構成されています。海川層の安山岩-玄武岩溶岩(Ua)は固いため、差別侵食によって急峻な山塊をなしており、その末端ではしばしば大規模な崩壊が発生しています。
 来海沢は、地質図では根知層が分布している地域ですが、海川層からなる山塊に近いことから、表層には火山岩礫からなる崩壊堆積物が分布しています。この崩壊堆積物は固結していないため、地すべりや土石流が発生しやすいと考えられます。

図 5万分の1地質図幅「小滝」(長森英明・竹内 誠・古川竜太・中澤 努・中野 俊, 2010)に3月4日の地すべりを破線で示した

図 5万分の1地質図幅「小滝」(長森英明・竹内 誠・古川竜太・中澤 努・中野 俊, 2010)に
3月4日の地すべりを破線で示した。
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更新履歴

  • 2021年3月8日:「3D版の表示」を追加
  • 2021年3月5日:開設

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産総研地質調査総合センター