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平成26年8月20日に
広島市で発生した土石流及び斜面崩壊の発生地に関する地質情報

平成26年8月20日開設
平成26年8月22日更新

概要

  平成26年8月20日早朝,広島市安佐南区,安佐北区で土石流及び斜面崩壊が発生しました.
  斜面崩壊の発生した,安佐南区山本付近(地点①)は後期白亜紀(9000~7000万年前)の広島花崗岩の分布域で,一般的には表層が風化して真砂(マサ)と呼ばれる脆弱な状態になっている場合が多いことが知られています.
  土石流の発生したところのうち,安佐南区緑井付近(地点②)も同様の地質です.
  一方,複数の土石流が発生した安佐南区八木付近(地点③)では,谷の下部は広島花崗岩ですが,地形が急峻な谷の上部はジュラ紀の付加体(*1)の岩石で,広島花崗岩による接触変成作用(*2)によって堅くなっています.
  安佐北区可部東では根谷川沿いの土石流(地点④)は広島花崗岩の分布域で起こっています.しかし,そこから東に入ったところ(地点⑤)では,広島花崗岩と断層をはさんで東側に分布する後期白亜紀の高田流紋岩(9000~7000万年前)との境界部で発生しています.
  今後,土石流発生地点の地質や地形の調査を行い,詳細な土石流発生のメカニズムを明らかにしていくことが重要です.

図1 口永良部島火山の地質図

図1 陰影図:基盤地図情報(数値標高モデル)10mメッシュ, 地質図:20万分の1日本シームレス地質図

 

図2 5万分の1地質図幅「広島」

図2 5万分の1地質図幅「広島」

 

関連情報・リンク

 

 

地質情報研究部門

 

*1 海洋プレートの沈み込みによってできた複雑な地層.ここでは約1億6000万年前にできた.
*2 花崗岩マグマの熱で再結晶すること.一般的に元の岩石に比べ,緻密で硬い岩石に変化する.