知ってますか?あなたの町の地質 −近畿の地質図展−

概要

日時:
2002年 2月16日(土)〜17日(日) 9:30〜16:30
場所:
大阪市立自然史博物館
大阪市東住吉区長居公園 1-23
主催:
産業技術総合研究所 地質調査総合センター
大阪市立自然史博物館

交通地図

専門家による地質図の解説や、「化石のレプリカ作り」などの子供向け体験コーナーは、 16日〜17日の2日間限りですが、地質図などの展示は3月10日(日)まで行います。

参加費は無料。ただし入館料(大人300円、高校生200円、中学生以下無料)が必要です。

PRポスター

地質調査総合センターが発行する5万分の1地質図シリーズでは、日本全土をカバーすべく、現在も調査研究が進められています。

2001年に大阪周辺の地質図がつながったのを期に、近畿地方の皆さんに、ご自身の町の地質や地質図そのものへの関心と理解を持っていただきたく、このイベントを企画いたしました。

地質図展の会場では、近畿地方の地質図類の展示を行い、その地域の調査・研究に携わり、地質図の制作に関わったスタッフが直接皆さんの質問にお答えさせていただく予定です。

加えて、特に小学生を対象にして地学への興味のきっかけになればと、簡単に参加できる体験コーナーを考えています。

地質図って何?

1. 100万分の1地質図

100万分の1日本地質図では日本列島の地質を一目で見ることができます.この地質図では日本の地質を,左上の凡例にあるように,大きく堆積岩,付加コンプレックス(海洋プレートが沈み込むときに陸側へ押しつけられた海底の地層や岩石),火山岩,深成岩および変成岩に区分しています.更にそれらは時代毎に細分され,それぞれの分布が示されています.よく理科の教科書や副読本で見かける「日本の地質図」の詳細版といえます.

2. 地質図の歴史

日本の地質学の歴史は,明治政府が招いたライマンら外国人技術者による北海道の地質調査から始まりました.その後,明治15年に農商務省直轄で設立された地質調査所によって,明治27年には鉱業の基礎データとして日本全体の40万分の1予察地質図(5葉)が完成しました.これ以来,地質学の進歩に伴い,順次精密な地質図が出版されてきました.今回の展示会ではこれら貴重な歴史的地質図も展示しています.

3. 地質図の利用と読み方

地質図には,その場所の地面の下がどんな岩石や地層でできているかが書かれているだけではありません.断層のずれ方,地層の傾きや曲がり方(褶曲と言います),地層のたまった順番など,その地域の大地の歴史や起こりうる自然災害が予想できるように描かれています.そのような地質図の読み方を簡単に説明しました.また,地質図から読みとれる情報は,国土保全,防災,環境評価,地下資源探査などの基礎情報として利用されています.

4. さまざまな地質図類

地質調査総合センターではこのほかに,地質編集図,海洋地質図,構造図,火山地質図,水理地質図,油田ガス田図,炭田図,空中磁気図,地熱地域等重力線図などを発行しています.また,数値地質図の発行にも取り組んでいます.これらの一部は会場でも販売しておりますのでご利用ください.

5. 近畿の地質図
1)近畿地方の20万分の1地質図

20万分の1地質図幅「京都及大阪」,「和歌山」「田辺」では近畿地方の地質を概観することができます.近畿地方は北から丹波帯,領家帯,三波川帯,秩父帯,四万十帯というほぼ東西に延びた帯状の地質構造帯に区分され,その上に,中新世(約1500万年前)の堆積岩類・火山岩類や大阪層群で代表される鮮新世(数百万年前)以降の堆積岩類が分布しています.

2)丹波高地−播但地域の5万分の1地質図

この地域には3億年から1億数千万年前,古生代石炭紀から中生代ジュラ紀という地質時代に,泥や砂などが海底にたまってできた地層が広く分布します.この地層には紡錘虫や放散虫などの化石が含まれます.

また,約7千万年前,中生代白亜紀に陸上で火山が噴火してできた岩石や地下深いところでマグマが冷えて固まってできた岩石も分布しています.これらのかたい地層や岩石は山地を形成しています.

一方,三田盆地から神戸西部の丘陵には約4千万年前の新生代古第三紀の地層が分布し,貝や植物の化石を含みます.

3)大阪湾周辺数値地質図

5万分の1地質図はその地域の特徴や作成された時期により地層区分の基準が異なっていることがあります.1995年兵庫県南部地震の後,大阪湾周辺の8 地域の5万分の1地質図をまとめて数値化しました.このことにより,地質・地理・地球物理などの情報を重ねて表示することができるようになりました.

4)大阪・奈良地域の5万分の1地質図

生駒山地や大和高原には約 1億年前に地下でマグマが冷えて固まった花崗岩などが広く分布し,現在の大阪・奈良地域の土台を作っています.約1800-1500万年前の近畿地方は今の瀬戸内海のように,内海が広がっていました.そのときの地層が大和高原などに残って分布し,貝化石などの化石を多く含んでいます.

また,二上山や室生寺の近くには1500万-1300万年前頃に噴出した火山岩類が広く分布しています. 大阪平野や京都・奈良盆地などは,数百万年前から活動した奈良東縁断層,生駒断層,有馬高槻構造線など断層の運動によって形成された凹地です.

5)あなたの家はどこですか?

会場の床に,大阪から名古屋までの地域の5万分の1地質図幅を拡大して敷きつめました.あなたの家の地下はどんな地質でできているでしょう?詳しくは近くにいるスタッフに聞いてください.

6. 地質汚染図

ヒ素や水銀,カドミウムなどの有害元素による汚染の様子を示した地図が地質汚染図です。このような元素の濃度分布図を一般に地球化学図といいます。現在、産業技術総合研究所では全国をカバーする地球化学図を作成中です.このような元素の分布と地質,鉱床などとの関係,および産業や人間活動による影響を考えてゆく予定です.地球化学図は地殻表層における元素の濃度分布を示します.近畿地方においては,約50元素の地球化学図を作成しました.自然および人為的なヒ素や水銀,カドミウムなどの有害元素による土壌汚染の様子が分かります.

7. 活断層図
1)50万の1活構造図(近畿)

活構造図「京都」は近畿圏及び中京圏を中心とした範囲で,活断層,地震の分布や地盤の構造などを表現したものです.それが動いた時代などによって活断層を区分したり,大地震の時の強い震動域や液状化跡分布,最近おこっている微小地震の分布などを示しています.また重力調査から明らかになった地質構造などもとりいれ,全部で4枚の図に表現しています.これらの図は現在印刷中で,まもなく出版されます.

2)ストリップマップ

活断層は将来大地震を発生させる可能性のある断層であり,活断層を研究することは大変重要です.活断層の正確な位置や地質のデータを,断層に平行に細長い地形図に示したものが活断層ストリップマップです.近畿地方では,これまでに和泉山脈南麓-金剛山地東縁の中央構造線,京都市の東-北東方に位置する花折断層,兵庫県南部地震の時に活動した淡路島の野島断層のストリップマップが作成されています.

8. 100万分の1重力異常図(近畿地方)

近畿地方の重力異常(ブーゲー異常)の大きな特徴は,等重力線の密なところが随所に見られることです.それらは断層構造や基盤落差の大きい密度構造の不連続性を示しています.近畿三角地帯を画する養老山地,伊吹山地,鈴鹿山脈,生駒山地,淡路島−六甲山地,比良山地などの山地と平野部の境界付近には大きな基盤の落差,すなわち断層の存在などを示す変化の急傾斜部が存在します.

9. 50万分の1鉱物資源図

中部及び近畿地方の2府10県内には,2000以上の鉱産地・鉱床・鉱山が分布しますが, 50万分の1鉱物資源図では,そのうちの代表的な314鉱床を選別し,表示・記載してあります.中部・近畿地方には,かつて神岡・中竜・生野・明延などの大規模な金属鉱床が多数分布して,日本の主要金属鉱物生産量の30%を占めていました.しかしその後,金属鉱山は次々に廃坑となり,現在,採掘稼行中の鉱山のほとんどは非金属鉱山です.

やってみよう! 体験コーナー

1. ペットボトルを使った地盤の液状化実験

1995年兵庫県南部地震や1964年新潟地震などの被害からもわかるように,やわらかい地盤が分布する海岸に近いところで地震が起こると地盤が液状化します.この時,噴砂が吹き出したり護岸がはらみだしたりビルが抜けあがったりといった現象が起こります.この液状化がどうして起こるのかをペットボトルを使って実験してみましょう.

2. やってみよう! 化石レプリカ作り

見学の記念に化石レプリカを作ってみませんか.作業時間10分,あとは石こうが固まるまで30分,展示を見学してお過ごし下さい.写真のような中生代の代表的な化石 「アンモナイト」のレプリカを作って,あなたも"化石コレクター"の仲間入り.

3. 鳴り砂

「鳴り砂」の砂浜を歩くと,足下から「キュッ!キュッ!」と美しい音が聞こえてきます.渚の不思議なこの音色を,実験で再現してみましょう.どなたにも,鳴り砂の音を体験することができます.実験は簡単.ワイングラスに数十グラムの鳴り砂を入れ,堅い棒で突くだけです.さあ,あなたもチャレンジしてみましょう.


皆さんぜひご来場ください。