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地質調査企画室は IGCP への協力の一環として同国内委員会ニュースの web 上での掲載を行っております。

現在の文章は 2006年2月21日 発行の「日本 IGCP 活動報告 2005」の文書をもとに作成されています。

関連する国際シンポジウム

  • IGCP 411  平成14年7月8日(月) 更新

 

IGCP - International Geoscience Programme

1. IGCP の目的

  初期の IGCP は (International Geological Correlation Programme 国際地質対比計画) として、ユネスコ (UNESCO) と国際地質学連合 (IUGS) の国際協力研究事業として1973年に発足した。それから30年余を経た現在、ユネスコのプログラムの中で最も成果を挙げたものの1つとして定着しているが、2003年秋にInternational Geoscience Programme (IGCP) と外部の人達にわかり易い名称 (略称 IGCP はそのまま) に変更され、それに伴って和名も2004年から"地質科学国際研究計画"とすることとした。現在世界各地で48の国際プロジェクトが活動している。このうち、現在日本がリーダーシップをとっているプロジェクトは3、日本がワーキンググループを組織して参加しているものは計7となっている。

  IGCPの目的は地質学的諸問題の研究に国際的協力を促進し、それによって人類の生活場所であり、また鉱物およびエネルギー資源の根源でもある地球を賢明に利用することを助長しようとするもので、この目的達成のため、地球上の地域やイベントの対比 (Correlation) の研究を通じて
  1) 人類の生活環境向上を目指し、地球環境を制御する諸要因の解明、
  2) エネルギー・水・鉱物資源を見出し利用する効果的方法手段の開発、
  3) 地質学的過程に関する知見の増大、
  4) 地質学の研究方法や技術の向上、
などを追求することにある。近年では特に地球環境を視野に入れ、地質学を通じて社会に貢献することに力点を置くことが要請されている。このように IGCP は地質学、地球物理学、地球化学など地球に関するあらゆる専門分野を含む学際的なもので、海洋科学、気圏・水圏科学、生物科学のような地球科学との境界領域の積極的な開拓もその使命である。

2. IGCP 理事会

  IGCPには各地域と分野から選ばれた20名の委員からなる理事会 (Scientific Board) がおかれており、毎年1回 (1月末〜2月初め) パリのユネスコ本部で開催され、現行プロジェクトの活動の評価、新しいプロジェクトの採択等がおこなわれる。日本からは、2004年から田崎和江金沢大学教授がメンバーとして参加している。

  第33回  IGCP 理事会は2005年2月7日から5日間、パリのユネスコ本部で開催され、IGCP Secretary の報告、ユネスコが関連する他のプログラムの報告、現行プロジェクトの2003年の活動状況および、提出された国内委員会報告の評価、新しいプロジェクトの提案の採否などがなされた。今回は18の提案のうちから10の新しいプロジェクトが採択された。その結果、現行のプロジェクトは期限延長が承認されたものを含めて48となった。なお、次回は2006年2月15日から3日間、パリのユネスコ本部で開催される。

  なお、今回 Division of Earth Sciences は再編され、Division of Ecological and Earth Sciences となると共に、ユネスコは今後「水問題」「自然災害軽減」「全ての人への教育」を最重要課題とする方針。Director には Mr. N. Ishwaran, IGCP Secretary には Mr. R. Missotten, IGCP Chair person にはタンザニアの Prof. S. Muhongo 氏が新たに就任した。

3. IGCP 国内委員会

  IGCP 参加各国はそれぞれ国内委員会をおくことになっている。現在は123ヵ国が参加している。国内委員会の所掌事項は
  1) IGCPプロジェクトの国内外への紹介、
  2) 国内ワーキンググループの育成、活動の助成、
  3) 新しいプロジェクト提案の本部への推薦、
  4) 理事会メンバーの推薦、
  5) 国内IGCP活動の本部への報告等である。

  日本 IGCP 国内委員会は委員長、幹事のほか関係プロジェクトと関連する組織であるユネスコ国内委、日本学術会議、地質調査所、国立極地研究所からの委員11名からなる。平成17年の委員会は2月25日、6月16日、9月12日、日本学術会議において計3回開かれ、これまでの活動状況の検討、今後の活動計画、などを審議決定した。なお、IGCP 国内委員会は日本学術会議において、第18期に引き続き第19期に国際学術協力事業研究連絡委員会の IGCP 専門委員会・同小委員会として活動をおこなった。

平成17年の国内委員会で報告審議決定された主な事項は下記の通り
  • 第19期の国際学術協力事業研究連絡委員会 (委員長: 土隆一) は中野政詩氏 (世話人) の元に2回 (2月、9月) 開かれ、関連事項を審議した。
  • 平成17年2月に開かれた IGCP 理事会において、日本国内委員会から推薦した IGCP−411. の後継プロジェクト、IGCP−516 "Geological Anatomy of East & South Asia" (2005−2009) が承諾され、筑波大の久田健一郎氏が Co-Leader として本年から活動することとなった。
  • 国際惑星地球年 (IYPE) が IUGS と UNESCO によって強力にすすめられていることから、国内委としても地質学研連と共に積極的に協力することとした。なお、これに関連して国内委では UNESCO Network for Geoparks に関する国際シンポジウムの計画をすすめることとした。
  • 国内委員会の2005年 Annual Report を12月末に IGCP 本部へ提出した。そのほか、活動状況を日本ユネスコ国内委員会および日本地質学会に報告した。また、日本 IGCP 活動報告2005 (英文、邦文) を2006年2月までに作成し、関係方面に送付の予定。

最近の主な出版物

  1. IGCP国内委員会 (2000): IGCP特別シンポジウム−21世紀の地球環境とIGCP−, 32p.
  2. Japan National Committee for IGCP (2000): Earth's Environment and the IGCP Activities for the 21st Century, 76p.
  3. Japan National Committee for IGCP (2005): Japan Contribution to the IGCP, 2005, 10p.
  4. IGCP国内委員会 (2005): 日本IGCP活動報告2004, 39p.