GSJニュースレター No.8  2005.5
活断層研究センター第4回研究発表会 松浦 旅人 (活断層研究センター)
質疑応答の様子
 活断層研究センターは,2005年4月12日(火),東京都港区のコクヨホールにおいて,通算4回目となる研究発表会を開催した.今回は,外部から講演者をお招きしない初の研究発表会であった.参加者は過去4回の中で最も多く,外部159名,産総研38名の合計197名であった.特に,地質,ライフライン関係の企業の方々の参加が目立った.参加者が増えた背景には,近年の地震災害の発生や確率論的地震動予測地図(地震調査研究推進本部)の公表を受けた地震防災への関心の高まり,および,こうした関心に応える組織としての活断層研究センターの社会的認知度の向上があるものと思われる.

 活断層研究センターは,設立から4年間,地質学(古地震学)を基礎に,地震学,地震工学,歴史学,考古学等との融合により,活断層とそこで発生する地震,海溝型地震,地震災害予測の研究に取り組んできた.今回は,活断層の活動確率評価,断層間相互作用,海溝型地震の履歴解明,地震災害予測など計8題の講演を行い,4年間の主な研究成果と今後の取り組みを紹介した.また,講演会場の外に設けた発表ブースでは,2004年スマトラ沖地震,2004年新潟県中越地震,2005年福岡県西方沖の地震の緊急調査結果や,活断層の評価研究の最新情報など計19件のポスター発表と,2005年3月に公開した活断層データベースのデモンストレーションを行った.

 来場された方々からは,質疑応答やアンケートを通して,これまでの当センターの研究内容や今後の方針について貴重なご意見を数多く頂いた.この中には,この夏に刊行予定の全国主要活断層活動確率地図に関連した断層活動評価の捉え方,アジア地域における古地震学的調査の必要性,活断層をまたぐ構造物への断層変位の影響評価と対策の重要性,といった重要な問題提起も含まれている.今回いただいたご意見をもとに,センターの活動方針を検討し,新たに制定された産総研憲章に謳われている“社会の役に立つ研究”の実施と成果の公表に努めたいと考えている.

断層活動の再来間隔に基づく活動セグメントの分類(暫定版:口頭発表「活断層のセグメント区分手法とその有効性」(粟田)から) 北海道太平洋岸を襲った過去の津波の高さかと到達時間(口頭発表「海溝型地震の多様性と今後の課題」(岡村)から)
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GSJニュースレター No.8 2005.5
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST