GSJニュースレター No.5  2005.2
北淡国際活断層シンポジウム報告  粟田 泰夫 (活断層研究センター)
 兵庫県南部地震の10周年を記念して,1月18〜24日に,震源地となった淡路島の北淡町を会場として北淡国際活断層シンポジウム(Hokudan International Symposium on Active Faulting)が開催されました.海外16ヶ国からの50名を含む157名の参加登録があり,前回の2000年集会と同様に,活断層に関する最大級の国際集会となりました.

 18〜22日に開催された研究発表会では,「地震災害軽減のための活断層研究」をテーマに,42件の口頭発表と80件のポスター発表がなされました.日本からは,全国規模で進められてきた10カ年計画の活断層調査・研究の最終年度にあたることから,それらの成果と,地震の長期予測および確率論的な強震動予測についての多数の発表がありました.また米国からは,サンフランシスコ湾岸地域で実施された同様のプロジェクトのほか,太平洋岸の巨大地震と活断層に関する高精度の研究成果が発表されました.欧州・中近東においては,1999年にトルコで発生した大地震を契機として,北アナトリア・死海断層系を対象とした幾つかの国際共同研究が実施されてきており,急速に研究水準が高まるとともに,若手研究者が育ってきていることがうかがえました.アジアでも,1999年に地震被害を被った台湾や中国において,組織的な活断層研究が始められている様子が報告されました.20日夕方には世界の研究者と地元町民との対話集会が,また22日午後には台湾の1999年集集地震断層の保存と活用に関する一般講演会も開催され,研究成果の普及が試みられました.さらに22日午後〜24日にかけては,海外からの参加者を主な対象として,四国の室戸岬と中央構造線活断層系の巡検が実施されました.

 人口1万人余りの町が中心となって主催した2回目の国際シンポジウムは,「震源の町から世界に向けて情報を発信する」との目的を十二分に達成できたと言えましょう.

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(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
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