GSJニュースレター No.4  2005.1
UJNR地震調査専門部会合同部会報告
小泉 尚嗣・増田 幸治(地質情報研究部門)・吾妻 崇(活断層研究センター)・佃 栄吉(研究コーディネータ)
写真 パークフィールドでの巡検の風景
 UJNR(天然資源の開発利用に関する日米会議:U.S.-Japan Conference on Development and Utilization of Natural Resources )地震調査専門部会第5回合同部会が,2004年10月12日〜16日に,米国カリフォルニア州モントレーおよびパークフィールドにて開催された.地質調査総合センターからは,小泉・増田・吾妻・佃が参加したので以下に報告する.

 UJNR地震調査専門部会は,1979年に「地震予知技術専門部会」として発足し,1996年9月のUJNR第15回全体会議において地震調査専門部会と名称が変更されたものである.同専門部会国内部会は,国土地理院長を部会長とし,国土地理院・産総研・海上保安庁・気象庁・防災科研といった各機関の代表委員により構成され,国土地理院が事務局となっている.産総研の委員は,現在,佃研究コーディネータである.合同部会は2年毎に日本と米国で交互に開催されていて,今回の第5回専門部会では,10月12日〜15日にテクニカルセッションがモントレーで,15日〜16日に野外巡検がパークフィールド周辺で行われた(写真).

 テクニカルセッションでは,日米双方から合計50件の報告があった.日本側からは2004年9月5日に発生した紀伊半島南東沖の地震活動(前震:M6.9,本震:M7.4)の調査結果が,米国側からは2004年9月28日に発生したパークフィールド地震(M6.0)の調査結果が急遽発表されるなど,最近発生した地震も含めて充実した議論が展開された.

 パークフィールドでは,プレート境界であるサン・アンドレアス断層の一部を震源とするM6クラスの地震が1857年以来6回繰り返し発生しており,地震前兆検出のための実験場として,地震・地殻変動等の観測が集中的に実施されていた.前回(1966),前々回(1934)の地震発生前には,地震発生域の北部において前兆現象が観測され,その部分に観測網も集中していた.しかし,今回の地震では,断層の北側からでなく南側から断層の破壊が始まったことなども関係してか,顕著な前兆現象は残念ながら観測されなかった.他方,サン・アンドレアス断層の深部掘削研究計画(SAFOD:San Andreas Fault Observatory at Depth)等で,質の高いデータが得られている.また,「地震予知」を主テーマとする発表が米国側からいくつかあり,地震予知研究に批判的であった昨今の米国地震「学界」の姿勢が変化しているように思われた.このような,「雰囲気の変化」は,(一時期「地震予知研究」に批判的であった)Natureにも報告されている(A seismic shift in thinking, Nature,431,p.1032-1034, 2004, http://www.natureasia.com/japan/digest/に和訳あり).

 テクニカルセッション終了後,SAFODのボーリング現場,パークフィールド地震の震源域周辺における稠密観測現場等への巡検があった.SAFODは,3000m以上のボーリングを行うことによって,実際に地震が発生している領域における断層の状況を直接観測しようと言う野心的プロジェクトである.試験孔及び本孔の主要部分が既に掘削されており,今回のパークフィールド地震に伴う観測記録も試験坑の計器で取得することに成功していた.その意気込みと,地震学・地質学・地球化学・水文学・地殻変動学等の英知を結集した観測プログラム内容に感銘を受けた.

 今回の会議では,宇宙技術・リアルタイム地震情報システム・断層帯の物理・古地震・地震被害予測等の分野での日米の協調に加え,大地震直後に初期情報とその解釈等,ウェブサイトでの情報交換を速やかに行うためのサイトを立ち上げることを提案する決議が採択された.この決議内容について,地質調査総合センターでどのように対処していくかについては,今後,地震調査研究推進ワーキンググループ等で議論される予定である.

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GSJニュースレター No.4 2005.1
(独)産業技術総合研究所地質調査総合センター
GeologicalSurvey of Japan,AIST