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アジアオセアニア地球科学会(AOGS)第4回ブース出展報告
内田 洋平(地質調査情報センター)


写真 ブースで説明する様子.


2007年のAOGSは7月30日から8月4日まで,タイ・バンコクの Queen Sirikit National Convention Center で開催された.本国際会議も第4回となり,参加者総数が1200名を超え,アジアにおける地球惑星科学の学会として広く定着しつつある.GSJは第1回より展示ブースを出展し,多くの研究者が発表を行い,本学会を支援してきている.

 今回の展示では,地質調査情報センターの役割を紹介するポスターと,活断層,地震,津波,シームレス地質図および地下水の5つの研究テーマを紹介するポスター,CCOPとの共同研究を紹介するポスターを掲示した.また,この4月にGSJの組織が一部改編したため,新しい英語版のパンフレットを配布すると共に,GSJの各種Web site (RIO-DB,地質文献データベースなどへの入り口を含む)のURLを記した名刺を配布した.また,掲示されているテーマ別ポスターの別刷りも配布した.これにより,GSJのWeb site や各種データベースへの海外からのアクセスが増加することを期待している.

 会期中は,約130名の人にGSJのブースへ立ち寄って頂いた.7月に起きた新潟県中越沖地震の災害についてはアジアでも広く報道されており,多くの参加者から新潟における地震と活断層との関係や,原発の安全性などについて聞かれることが多かった.また,記憶にも新しい2004年のスマトラ島沖地震とその津波については,展示ポスターに調査結果の概要がまとめられていることもあり,ポスターの前で参加者同士が議論をする光景が見られた.日本は地震,津波,火山,地滑りなどの地質災害が頻発する点で他のアジア諸国と似た環境にあるため,どのように地質に関するテーマを公開していくかという点が,アジア各国での共通の問題点であるようである.地下水のポスターでは,黄河流域地下水プロジェクト(中国地質調査局との共同研究)や,タイ・チェンマイ盆地における地下水の水質分布(タイ地下水資源局との共同調査)の研究結果を掲載してあるため,こちらも多くの参加者,特に中国とタイからの参加者の興味を引いたようである.我が国以外のアジア諸国では生活用水の大部分を地下水に依存しており,地下水の資源としての管理は,各国の重要課題の一つであるといえる.そのような中で,調査結果をどのようにまとめて活用していくかということが注目されているように感じた.

 来年の第5回アジアオセアニア地球科学会は,2008年6月16〜20日に韓国の釜山での開催が決定している.固体地球の分野に関しては,KIGAM(韓国地質資源研究所)が中心的な役割を担う予定である.GSJとKIGAM(及びそれ以外)の研究者によって,多くのセッションが立ち上げられることが期待される.







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